堕ちた二人
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「なんだ?今の魔力は・・・」
突如周囲に巻き起こった魔力の風。それは被害を及ぼすほどではなかったが、何か嫌な予感をもたらすものだった。
「これまた面倒くさいことになってきたな」
風が吹いてきた方向を見つめているティオスは怪訝そうな顔をしていた。このタイミングでのこの風は、彼にとっては悪影響しか及ぼさないのである。
「黒魔導士が妖精の心臓を手に入れたか。シリル、悪いがこれ以上お前に構っている時間はなさそうだ」
この世界を消し去り新たな自分へと進み出そうとしているゼレフ。それももちろんありではある。だが、ティオスにしてみればそれでは意味がない。自らの行ってきた行動も、ましてや人々を平等の立ち位置にするという意味でも。
「俺の目的のためにここで死んでくれ、シリル」
「悪いがレオン、死ぬのはお前だ」
睨み合うかつての親友。だが、彼らはもうそんな風に相手を見ていない。己の最大の敵である両者に対し、情けをかけるようなことは一切しない。
「5分だな。5分だけナツが粘ってくれればいい」
そう呟いたかと思うと、ティオスは一瞬のうちにシリルの背後へと回る。
「水竜の盾!!」
振り上げた拳を振り下ろしたティオス。だがそれを、シリルは振り向くこともせず、背後に水の壁を一枚作り出しそれを防いだ。
「氷神の・・・」
「やらせない!!」
水の盾を破壊して続け様に攻撃を試みようとしたティオス。だったが、シリルがそれよりも早く技を繰り出した。
「水竜の翼撃!!」
クロスさせていた腕を広げて技を繰り出すシリル。広範囲に放たれたその技を、ティオスはアクロバティックな動きで難なく交わした。
「氷神の・・・怒号!!」
距離を取りながらティオスはもっとも自信のある技を繰り出した。かつて世界を支配した絶対の実力者たちをも遥かに凌ぐ威力を持ったその技を。
「水竜の・・・」
シリルもそれに負けじと対抗しようと頬を膨らませた。だが・・・
(速い!!)
魔力を溜め終わるよりも早く、ティオスのブレスは彼を直撃する。
ガガガガガガガガガ
地面を抉りかつての友を吹き飛ばしたティオス。彼は砂煙が立ち込めるその場所を、静かな目で見据えていた。
「これくらいで終わるわけではないのだろ?」
「当たり前だぁ!!」
砂煙の中から血だらけになっている少年が飛び出してきた。間違いなく大きなダメージを与えることはできていた。しかし、それが決定打になるとは微塵も思っていない。
「相変わらずしつこい。いや・・・天使の子故の防御力なのか?」
猪突猛進のシリルを最小限の動きでやり過ごす。シリルの全体重が前に進んでいる
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