第五章
第54話 自爆
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がかなりあったように見えたのだが、一つ一つの傷に深いものはなく、今後の行動に大した支障はないようだ。火傷もすぐ治る程度のものだろう。
薬を塗ってもらっていると、見張りの兵士から、「ファーナ将軍がいらしています」という声が聞こえた。
国王は通すように返事をする。
「陛下。領主オドネルをさきほど確保しました。拘束して部屋に閉じ込めています。城側の兵士についても、一度全員の武装を解かせてあります」
「やはり何か見つかったんだな?」
「はい、先ほどの自爆事件とも無関係ではないようです」
「そうか。あとで落ち着いたら、余とヤマモトとリクで行く。それまで頼んだぞ」
「はい。お任せください」
領主オドネルは捕まったようだ。やはり何かあったのだ。
領主側の兵士の武装解除も当然だろう。
これで、この城の内外で武力を行使できるのは、首都から来た兵士のみという状態になった。
報告が終わった女将軍は、すぐ部屋から出ていくかと思いきや、俺のベッドに寄って声をかけてきた。
「おい。リク、大丈夫なのか?」
「あ、はい。大丈夫ですよ。わざわざありがとうございます」
女将軍は「ならよいのだが」と言い、薬を塗っているエイミーのほうにも話しかけた。
「お前はエイミーと言ったな。リクの火傷は酷いのか?」
「いえ、大したことないですよ! 薬を塗ればすぐ治ると思います」
「そうか、私も塗っていいかな」
「どうぞ!」
「いや、あなた忙しいんでしょ。はよ現場に戻りましょうよ……」
よくわからないが、女将軍も薬を塗っていった。
そして扉の外から、今度は「ランバート将軍がいらしています」という声が聞こえた。
また国王への報告のようだ。
「まだ外を捜索中ですが、現段階では逃走したと思われる女は見つかっていません」
「そうか……。最初から三人のうち、一人は成功失敗にかかわらず、報告のために逃げるつもりだったのだろう。準備万全だっただろうから、もう見つからぬかもしれぬな」
「申し訳ありません」
「よい。それよりそなたも無事でよかった」
「ありがとうございます。彼が叫んでくれたおかげです」
視線を感じた。俺がうつ伏せのまま首だけ横に向けると、二人とも俺のほうを見ていた。
手柄を横取りするわけにはいかないため、訂正を入れることにする。
「自爆に気づいたのは、俺じゃなくてクロですよ」
クロは、俺がいるベッドと国王がいるベッドのちょうど間、入口と反対側の窓際に座っていた。
入口近くは兵士が詰めているので、窓のほうにいたほうが防犯上もよいと考えたのだろう。
クロは目を合わせず、少し逸らしている。すぐにわかる。これは照れだ。
ランバートは、そんなことはお構いなしにクロのほう
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