第五章
第54話 自爆
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くるのを感じた。
慌ててそれを抑えつけ、会議室を見渡す。
女性はいなかった。
奥の窓が開いたままになっている。彼女は爆発する直前、もしくは爆発をやり過ごして逃走したのだろうか? 作戦は失敗だと判断して。
もしそうなら、これから本部に報告をしに行くつもりなのかもしれない。
こちらの他のメンバーは、すでに立ち上がっていた。
しかしこの凄惨な光景に圧倒されているのか、呆然と立ち尽くしている。
まるで、部屋の中に入ってきた兵士たちだけ時が流れているようだ。
「陛下! 起き上がってはいけません!」
兵士の悲痛な声が聞こえた。
いつの間にか、足元横から、ゆっくりと国王が起き上がってきていた。
「リク……大丈夫だったか……」
「陛下、まだ動かないほうが――」
「……余は大丈夫だ。お前らは――」
「俺もクロも大丈夫です。ほかのみんなも無事ですよ」
「そうか……よかった」
一瞬だけ少し安心したようにも見えたが、やはりすぐに厳しい表情になった。
この状況では当然だろう。
「陛下! 医者と救護の者を呼んでおります。そのまま動かず寝ていてください。頭を打っているかもしれません。危険です!」
「余は大丈――」
「陛下、兵士さんの言うとおりですよ。お医者さんが来るまで寝ていてください」
「あなたもです! 血だらけじゃないですか!」
国王と俺は、無理やりまた寝かされた。
***
小さな打ち合わせ室にベッドが置かれ、国王と俺の二人専用の臨時医務室が作られた。
「はいリク、薬塗るわよ!」
「いてえええええええ! 何すんだお前!」
「何って。薬塗ってるだけだけど?」
「いま塗るって言い終わる前に塗っただろ!」
「細かいことは気にしちゃだめよ?」
「エイミー、オレも塗っていい?」
「いいわよ、じゃあカイルさんは左側を」
「じゃあわたしは足がいいかな」
「そうね。じゃあカナは足を頼むわ!」
「カイルとカナは関係ないだろが!」
「おい、お前らうるさいぞ……」
部屋に置かれたもう一つのベッドの上から、国王の呆れ声が聞こえてきた。
国王は今、エイミーの師匠である医者の診察を受けている。
そして俺のほうは、シャツとズボンを脱いでうつ伏せになり、エイミーに火傷の薬を塗ってもらっているところだ。
幸いにも、クロはほぼ無傷だった。
国王も、隣で診察をしている医者の話を聞く分には、重い症状はないようである。
他のメンバーもきちんと距離を取って伏せてくれていた。特に大事に至るような怪我はないと思う。
俺は、破片での細かい刺し傷や切り傷が全身にあった。そして背中と足に火傷を負った。
兵士に指摘されたとおり、出血
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