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永遠の謎
315部分:第二十一話 これが恐れその五

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第二十一話 これが恐れその五

「神は時として残酷です」
「あの方の御心が女性であること」
「そのことがですか」
「不幸の元であるというのですか」
「ゾフィーは気付いていません」
 そしてだ。彼女はだというのだ。
「そのことに。若し気付いていれば」
「それでかなり違いますか」
「それだけで」
「ですが若し気付けば」
 その時はどうなるかもだ。皇后は読んでいた。王と、そして妹の双方のことをわかっている故にだ。だからこそわかることだった。
「その時には何もかもが終わります」
「御成婚は」
「二人の幸せは」
「そうです。終わります」
 また話すのだった。
「ゾフィーはあくまで女性です」
「御心も御身体も」
「そうなのですね」
「そうです。女性と女性は結ばれないもの」
 カトリックの、キリスト教の考えだった。
「だからこそです」
「それではこの御成婚は」
「幸せになることは願っています」
 またそうだと話しはした。だがそれでもだ。
 皇后はこれからのことを考え憂いていた。不幸な結末を不安に思いだ。そのうえで憂いていた。彼女とビスマルクはそうなのだった。
 そしてだ。王はというとだ。ゾフィーとの婚約を発表した。それを終えてだ。
 様々な報告をだ。側近達から聞いていた。その中でだ。
 政治の話も聞いていた。王の前にはだ。カイゼル髭の男がいた。その彼がだ。玉座の王に対して話していた。
「ワーグナー氏のことですが」
「どうなのでしょうか」
「はい、順調です」
 そうだというのである。
「全てはです」
「そうですか」
 それを聞いてだ。王はだ。
 安心した顔でだ。こう述べるのだった。
「それは何よりです」
「ワーグナー氏はバイエルンに戻れます」
 それがだ。大丈夫だというのだ。
「このミュンヘンにです」
「そうですか。このミュンヘンにですね」
「そうなります」
 こうだ。王に微笑んで述べるのだった。
「そのことをお約束します」
「わかりました。ではホーエンローエ卿」
 王はその口髭の男の名前をだ。呼んでみせた。
 そしてそのうえでだ。こうも言うのだった。
「首相となった貴方に期待させてもらいます」
「有り難き御言葉。それでは」
「思う存分動いて下さい」
 こうもだ。ホーエンローエに告げた。
「首相として」
「わかりました」
 ホーエンローエは一礼して応えた。こうした話も進んでいた。
 その王を見てだ。周囲はこんな話をした。
「ホーエンローエ卿が首相とはな」
「陛下も思い切ったことをなされる」
「あの御仁はワーグナー氏に比較的好意的だ」
「それを考えてのことだろう」
「しかしだ」
 だが、だとだ。ホーエンローエについて話が為されていく。

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