313部分:第二十一話 これが恐れその三
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第二十一話 これが恐れその三
「早速な」
「はい、それでは然るべきものをですね」
「バイエルン王にお贈りしましょう」
「そして王妃となられる方にも」
「そうするのだ」
皇帝は簡潔に述べた。
「それでいいな」
「畏まりました。それでは」
「その様に」
こう応えてだった。彼等もだ。
バイエルン王に対する様々な外交的な応対の用意に入るのだった。そしてそのことは今はウィーンにいる皇后の耳にも入ったのだった。
皇后はそれを聞いてだ。こう話した。
「そうですか。それはいいことですね」
「はい、実に」
「そう思います」
女官達もだ。すぐに皇后に答えた。
「では。皇后様からもですね」
「御祝いをされますか」
「無論です」
当然だとだ。皇后は答えた。
「我が従弟と我が妹の婚姻なのですから」
「だからですね」
「余計にですね」
「御祝いをされますね」
「はい、そうします」
まさにだ。そうだというのだ。
「それでなのですが」
「それで?」
「それでといいますと」
「バイエルン王は本当に」
そのだ。王のことを尋ねるのだった。
「結婚するのですね」
「はい、その通りですが」
「それが一体」
「どうされたのですか?」
「信じられません」
こう言うのだった。その整った顔に怪訝なものを浮かべてだ。
そのうえでだ。彼は話した。
「あの方が結婚するのですね」
「だからこそこうして今お話が出ているのですが」
「そうなのですが」
「それはわかっています」
皇后はだ。わかっているというのだ。
「ですが」
「ですが?」
「ですがといいますと?」
「あの方に結婚は」
そのだ。バイエルン王にはだというのだ。
「女性との結婚はできるものでしょうか」
「では男性とですか?」
「あの方は結婚されるべきだと」
「そう仰るのでしょうか」
「まさか」
「あの方の場合は」
どうかというのだ。バイエルン王はだ。
「そうあるべきなのでしょう」
「女性とではなく男性とですか」
「結婚されるべき」
「そうだというのですか」
「私はそう思います」
皇后が考える顔で話した。
「あの方はそうした方なのですから」
「左様ですか」
「あの方は元々そうした嗜好ですが」
「それでなのでしょうか」
「男性と」
「あの方は男性ではないのです」
ここでだ。皇后もだった。ビスマルクと同じことを話した。
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