第一章
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大阪のキジムナー
大阪市大正区は沖縄から移住してきた人が多い、その為沖縄料理の店も多い。
主婦の諸星秋奈は住んでいる自宅のマンションの近くにある沖縄料理の店がお気に入りだ、それで夫の浩二にも言うのだった。
「何かもう沖縄に移住したいってね」
「思う時もあるんだね」
「そうなの」
そのおっとりとした顔立ちで言うのだった、細い眉に優し気な目が胸まで伸ばした少し癖のある長い黒髪に合っている。背は一六五程で夫より八センチ位低い。二十代後半の年齢に相応しい肉付きの見事なスタイルを城のロングスカートとピンクのセーターで覆っている。
「時々だけれど」
「確かにね」
浩二はその眼鏡をかけた四角い顔立ちで応えた、髪の毛は七三にしていてがっしりとした体格だ。趣味は日課でもあるジム通いなので逞しい体格だ。その彼も言うのだった。
「そーきそばとかね」
「美味しいでしょ」
「足てびちとかもね」
「お酒も美味しいし」
「泡盛だね」
「そう、あのお酒もね」
こちらもというのだ。
「だからね」
「好きになって」
「移住はまあ時々思うけれど」
「旅行とはか」
「行きたいわね」
この言葉は結構本気で言った。
「何時かはね」
「じゃあ今度ね」
「二人共休みになったら」
「行こうね」
「そうね、私もね」
実は秋奈は仕事を持っている、卒業した八条大学で縁あって事務員をしているのだ。大阪から学園のある神戸まで通勤している。浩二は浩二で八条ツーリストで経理をしている。
「有給取って」
「夫婦で沖縄行って」
「沖縄料理をどんどん食べて」
そうしてというのだ。
「楽しみたいわ」
「泡盛も飲んで」
「そうしてね。あとね」
「あと?」
「実は私ガジュマルの気も好きなのよ」
「ああ、沖縄の木だね」
「あれも見たいわ」
こう夫に話した、二人で夕食を食べながらテーブルに座って話しているが今食べている料理はハンバーグと玉葱と茸のスープ、菊菜のひたしだ。主食は御飯で梅干しもある。
「是非ね」
「こっちにはね」
「大阪にはあまりないでしょ」
「そうだね、沖縄料理のお店は多くても」
それでもなのだ。
「沖縄の木はね」
「あまりないわね」
「だからガジュマルの木も」
秋奈が好きなそれがだ。
「どうしてもね」
「あまりなくてだね」
「沖縄に行ったら」
「沖縄料理を食べて」
「ガジュマルの木も」
それもというのだ。
「見たいわ」
「じゃあね、旅行に行くまでの間は」
それならとだ、浩二は妻に箸でハンバーグを食べつつ話した。
「少なくてもここにもガジュマルの木があるよね」
「ええ、一応ね」
「その木を見てね」
「せめてって思えばいいのね」
「お店に入ってね
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