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永遠の謎
311部分:第二十一話 これが恐れその一
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第二十一話 これが恐れその一

                第二十一話  これが恐れ
 王がゾフィーと婚約するという話はだ。瞬く間に欧州全体に伝わった。
 それは当然オーストリアの宮廷においてもだ。
 皇帝はそれを聞いてだ。まずはこう言うのだった。
「まずはいいことだな」
「はい、しかも御相手はゾフィー様です」
「皇后様の妹君です」
「まさに最高の選択です」
「これ以上はないまでの」
「そうだ。まさにだ」
 その通りだとだ。皇帝も話した。
「待っていた。あの王が結婚する時をな」
 皇帝はウィーンの宮廷、黄金のその宮廷において話すのだった。それをだ。側近達は聞いてそれぞれ述べていた。そうしていたのである。
 そしてだ。皇帝はだ。そのことについてだ。
 静かにだ。こうも話した。
「皇后も喜んでいるだろう」
「はい、そうですね」
「あの方が最も喜んでおられますね」
「やはりそうですね」
「そうだ。皇后とバイエルン王は親族同士だ」
 皇后は王の従姉なのだ。従ってゾフィーは王の従妹になるのだ。
 その従兄妹同士の婚約だからこそだ。皇后もだというのだ。
「家柄としては問題ない」
「王家の婚姻としてですね」
「非常によいですね」
「その通りですね」
「そうだ。ヴィッテルスバッハ家は名家だ」
 バイエルン王家の歴史はハプスブルク家よりもさらに古い。そして神聖ローマ皇帝を出したこともある。そうした意味でハプスブルク家とも比肩する。そこまでの家なのだ。
 その家の婚姻ともなるとだ。流石に相手が選ばれる。それを考慮してもだった。
 ゾフィーは相応しい相手だった。それを踏まえて語る皇帝だった。
「それに見合う相手だった」
「そして年齢もですし」
「また外見的にも」
「バイエルン王の美貌は際立っている」
 皇帝も認めることだった。とかくバイエルン王はだ。その美貌が話された。長身で尚且つすらりとした容姿、整った気品に満ちた顔立ち、どれを見てもだった。
 王は美貌を誇っていた。その王だからこそだった。その相手もだ。
「それだけの美貌の持ち主の伴侶ならbだ」
「バイエルン王と見合うだけの美貌の持ち主」
「その方が必要だったのですね」
「そうだったのですね」
「そうだったのだ」
 こう話すのだった。
「あの方にとっては必要だったのだ」
「しかしそれが見つかりましたね」
「ゾフィー様がですね」
「皇后様の妹君であられる」
「あの方が」
「そうなのだ。あの妹君がなのだ」
 また話す皇帝だった。
「皇后の妹である彼女はだ」
「写真を見ましたが非常にお奇麗な方です」
「皇后様とはまた違った美貌の持ち主ですね」
「それでいて皇后様の妹君であることを思わせる」
「そうした方ですね」

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