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薬屋の忍者
第二章

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「うちが造った漢方薬です」
「元気で出るだね」
「高麗人参に冬虫夏草、スッポンにマムシ等様々なものを入れた」
「そうしたなんだ」
「精力剤です」
「これを飲めば」
「もうすぐにです」
 即座にというのだ。
「回復出来ます」
「そんなに凄いんだね」
「値は張ります」
 このことも言う良佳だった。
「ですがそれでも」
「飲んだらだね」
「過労もです」
 どう見てもかなり重度のそれである客もというのだ。
「一発で消し飛びますさかい」
「だからか」
「召し上がって下さい」
 是非にと言うのだった。
「そうして下さい」
「それじゃあ」
 是非にと唸ってだ、それでだった。 
 客はその場で金を出して薬を飲んでみた、すると。
 それまで誰が見ても倒れる寸前だったが背筋が伸びて顔が引き締まった、英気に満ち溢れた顔になり。
 それでだ、良佳に言った。
「驚く位にね」
「元気になりましたか」
「うん」
 そうなったというのだ。
「今ね」
「このお薬はです」
「ちょっと飲むと」
「はい、かなりの疲れでも」
「消し飛ぶんだね」
「そうなります、ただ」
 良佳は客にこうも言った。
「やっぱり身体はお薬よりも」
「飲むよりもだね」
「休むのが一番です」 
 それが最も効果があるというのだ。
「沢山寝る」
「それがなんだね」
「一番ええですから」
 それでというのだ。
「お薬よりも」
「それよりもだね」
「値て下さいね」
「うん、じゃあ」
「はい、よく寝て下さい」
 このことをアドバイスすることも忘れなかった、倒れる寸前の客を薬で救ってからも。その他にもだった。
 冷え性で来た初老の女性の客にもだ、こう言った。
「お風呂に入って運動をしたら」
「冷え性はなのね」
「随分違います」
 よくなるというのだ。
「冷え性の為のお薬もありますし」
「今出してくれたけれど」
「まずはです、あったかい服を着て」
 そうしてというのだ。
「お風呂によく入って」
「身体を動かすといいのね」
「ジョギングなり散歩なり」
「軽い運動?」
「はい、そうしたらです」
 それでというのだ。
「ほんまにちゃいますから」
「お薬に頼らないで」
「そうして下さい」
「それが一番いいんだね」
「はい、それとです」
「それと?」
「どうもです」
 ここでこうも言った良佳だった。
「お客さん肩凝りもしてるみたいですけど」
「そっちも酷いのよ」
 その通りだとだ、女性客は答えた。
「実は」
「肩凝りにもあったかくして」
 そうしてというのだ。
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