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提督はBarにいる・外伝
彼願白書・逆さ磔の悪魔編-Side B-
舞い込んだ厄介事
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のかも知れんが、知らず知らずの内に撃退していたのか、或いは……なんて、沈んだ今じゃあ関係無い話か。

『ところが、だ。今回の私の仕事はその空母をキッチリと仕留める事だ。……何しろ、今までに5回も沈んだクセにしつこく蘇っているらしいのでな』

「なんじゃそら。その新型の深海棲艦が既に量産されてる、とかって話じゃねぇのか?その口ぶりじゃあ同じ個体が何度も復活してるみてぇな言い方じゃねぇかよ」

『あぁ、認め難いがそういう事だ。その上で電話の用件を単刀直入に言おう……囮になってくれ』





「ほぅ?俺達に囮をやれってか……言ってくれるじゃねぇか」

『ブルネイの切り札、南方のビッグパパ……その男が率いる精強な艦隊だからこそ囮役を持ち掛けているのだ。そこらの鎮守府の艦隊であれば、それこそ数を頼んで捨て石にでもしているさ』

 この狐野郎の言葉は嘘じゃねぇ……この男は提督を引退している。その際、当時存在していた海軍の全艦娘の2/3近くを磨り潰して深海棲艦の中でも化け物とされる『ネームレベル』を討ち滅ぼしているんだ。目的達成の為なら、犠牲は厭わない冷酷さを持ち合わせている。しかし、何故今回はそうしないのか?
暫く考えた後、問い質すように呟く。

「……そうしなかったのは、心境の変化かい?」

『何故そう思う?』

「ジジィから昔、アンタの戦いぶりを纏めた資料を見させてもらった。アンタにゃ悪いが、俺にはとても真似できそうにねぇ戦法だった」

 その資料から読み取れたのは、まるで艦娘を将棋やチェスの駒のように操り、最も効率良く短時間で戦闘を終わらせる運用だった。どれだけの犠牲を払おうとも確実に勝ち切る……覚悟はしていても、いざその状況に置かれた時に同じ事が出来るか?と問われれば揺らいでしまいそうな位には、俺は自分の育て上げたコイツら艦娘に、情が湧いてしまっている。

『称賛……という訳では無さそうだな』

「ったりめぇだろ。今のご時世にあんな戦い方してる奴がいたら、真っ先に俺が叩き潰してるさ」

 艦娘が実戦投入され始めた当時ならまだしも、今はもう艦娘にも人権が保証されている。それこそ捨て駒にするような戦い方をすれば、憲兵隊に即刻逮捕される程度には。

「……だが、あの当時俺が同じ立場で、どうあっても勝たなくてはならない状況ならば、とは考えなくもねぇさ。その頃に比べたら、俺達はまだ恵まれた環境だと思ってるよ」

『そう言ってくれるのなら、浮かばれる命もあるだろうな』

 その皮肉げな言い方が少し、鼻に付いた。

「……アンタは、後悔してんのかい?」

『たとえ20年前の“あの時”だろうが、更にその4年前の“あの時”に戻ったとしても、私は迷いなく選ぶ戦術は変わらないだろう。そう思う以上、今は
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