第五章
第53話 使節団
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両者の人数に合わせて奥に三つ、手前に七つが置かれていると、事前に説明があった。
こちら側の七つの席の内訳は、俺のほかには国王、神、参謀を代表してヤマモト、将軍を代表してランバート、事務方の官僚一人、そしてレンの師匠にあたる歴史学者……となる。
クロも今度は部屋の中に入るが、席には座らずに、俺の足元あたりにいてもらう予定でいる。
この話し合いが上手くまとまれば、地下都市は無血開城。
こちらの被害はゼロで済むし、相手の被害もない。
タケルとの約束も果たされることになる。
そして地下都市が開城となれば、俺が神から課せられた仕事も終了となる。
そうすれば、この時代からはさよならだ。
みんなと別れるのは寂しいが、元々俺はここにいるべき人間ではない。本来いるべきところに帰らなければならない。
ここまで長かったが、最後の山となりそうだ。
――俺、頑張れ。
そう自分に言い聞かせ、会議室の扉を開けた。
部屋に入る。
会議室は、きらびやかな装飾が至るところに施されていた。
大きさこそまったく異なるが、首都の城の謁見の間にも劣らないような豪華さだ。
こちら一同が入室すると、奥の三つの椅子に座っていた地下都市側の三名も、席を立った。
やはり揃って色白で、全体的に黒っぽい服を着ている。
席を立った三人は、挨拶のためだろうか? テーブルの脇に出て横一列に整列した。
左側からハヤシ・トキオ、代表であるオサダ・タカオ、そしてヤガミ・シオンの順番だ。
俺はそれを、なんとなく眺めていたが……。
オサダの視線が、一瞬だけ俺の足元のほうに向いた。なぜかはわからないが、その視線が異様に厳しかった気がした。
その俺の足元……少し後ろには、クロがいる。
彼らは、控室での事前の挨拶ではクロを見ていない。単純に初めて見たという理由で驚いたのだろうか。もしくは、ヤハラ経由でクロの存在くらいは聞いていただろうから、「この犬がそうなのか」と反射的に警戒したのか。よくわからない。
こちらも緊張で平常心ではないので、単なる気のせいかもしれない。
「余が国王だ。今日はお会いできて嬉しく思う」
「私は使節団代表のオサダ・タカオです。こちらこそ、嬉しく思います」
タカオに笑顔はないが、言葉遣いは丁寧だった。
見る限りでは、地上の人間を見下しているという雰囲気は感じられない。
これは幸先よしである。
この先の話し合いにも、期待が持てそうだ――そう思った。
「我々の文化では、正式な挨拶ではお互いが抱擁を交わすことになっています。そちらは代表として国王陛下とオオモリ・リク殿にお願いしてもかまいませんか」
「もちろんだ」
国王は笑顔で応えた。
すると
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