暁 〜小説投稿サイト〜
緑の楽園
第五章
第53話 使節団
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
隣にくっつくように座っていた金髪の少年カイルが、そんなことを言ってくる。

「……お前は落ち着いてるな」
「だって、今までもなんとかなってきたでしょ。今回もうまくいくって」

 彼はこちらを見上げて、根拠のないことを力強く断言した。
 なんというか、相変わらずである。そしてそれが、意外なほど心強い。

「よし。じゃあ、あちらの控室に挨拶しに行ってくる」

 俺が立ち上がると、カイルとクロも立ち上がる。
 それを見たタケルが、手枷を付けた姿で座ったまま声をかけてきた。

「リクさん。相手の名前、忘れないようにしてくださいね」
「ああ、三人だけだから大丈夫だと思う。戻ってきたらよろしく頼むぞ」
「はい」
「リク! 行ってらっしゃい!」
「痛っ……なんで僕を叩くんですか……。では待ってますね。リクさんお気をつけて」

 タケルの背中を力強く叩いたのは、エイミーである。
 彼女も師匠にあたる人物と一緒に来ているのだが、その師匠というのは医者である。
 彼女が医者の弟子というのはイメージとのギャップが凄いが、面倒見がよいのは間違いないので、適性はあるのかもしれない。



 控室の前に着いた。
 忘れ物がないか再度確認する。

 壊れたスマートフォン、内定が決まったときに両親から貰った腕時計、山口県に本店がある某服屋のパーカー、財布……。
 ヤハラ経由で俺の素性は伝わっていたと思うが、これでもかというくらい俺の時代の証拠を揃えた。
 クロについては、まだ相手に直接姿を見せない予定だ。扉の手前で待機させる。
 これはヤマモトの発案だ。「手の内はなるべく見せないほうがよい」というのがその理由らしい。

 ノックする。

「入ってもいいですか?」

 どうぞという声が聞こえる。
 大きく深呼吸をしてから、扉を開けた。



 ***



 タケルは幸いにも、三人全員について知っていた。
 それぞれが地下都市でどんなポジションの人間なのか、というところまで判明した。

 使節団の代表がオサダ・タカオという中年男性。上層部の一人で、組織図上はスパイだったヤハラの上司にあたる。年齢は四十代後半。
 もう一人の男性はハヤシ・トキオという名の若者で、タケルと同じく戦闘員として育てられた人間であり、普段は地下都市の警備を担当しているとのこと。年齢はまだ二十歳程度らしい。
 そして女性はヤガミ・シオン。十代の頃は戦闘員だったが、現在は中央で総務を担当しているらしい。年齢は三十代半ばから後半くらいではないかという話である。

 控室への挨拶も無事に終了し、いよいよ本番を迎える。

 この城で一番大きな会議室。大きなテーブルには、普段は二十四個の椅子が並べられているらしいが、今日は
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ