71話:異動
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急な話ですね?何か失敗でもやらかしたんですか?」
「アッテンボロー、逆だな。何もしなさ過ぎたから転出させられたんだ。毎日毎日、優雅に紅茶を飲みながら資料と自費で購入した書籍をのほほんと読んでいれば、記録統計室が地下10階にあるとはいえ目につく。さぼるならさぼる形に体裁を整えればよいものを、肝心なところが抜けているからな。『前線で苦労して気合を入れなおせ』って所だろうな」
「先輩にとっては楽園を追い出される感じですね。私もサボるときは体裁を整えるようにしたいと思います」
「お前さんは逃げ道を作るのは得意だからな。こういう失敗はしないタイプだろう」
「二人とも好き勝手言ってくれますね。確かに楽園を追い出された気持ちですが、前線の空気も肌で感じておくのも、歴史研究に活かせると思いますし、いつかは経験しなければならない事でしたから」
「ヤン。お前さんはあまり要領が良い方じゃない。エルファシル星系のリンチ司令は前線でも後方でもそれなりの実績を上げている。変に目を付けられるような事が無いようにな」
そんな話をしながら、送別会が進んでいく。横目で見るとアッテンボローはいつもより早いペースで料理を平らげていた。今日のお店は、先輩が奮発してくれたからかなり美味だ。食い溜めしておこうという魂胆なのだろうが、財布は先輩持ちだ。好き勝手言われた腹いせではないが、気づかないふりをしておこう。
「エルファシル星系と言えば、以前ヤン先輩が駐留基地を作ってみたらとおっしゃられていましたよね?キャゼルヌ先輩、後方支援部門としては、その辺はいかがです?」
「残念だが予算が無い。無い袖は振れんな......。予算があればヤンの言う通り、エルファシル星系に大規模な駐留基地を作るべきだが、現状では駐留させる艦隊が足らない。しばらくは無理だろうな」
「そうですか、何かと我が軍は後手後手に回ってますね。戦力を消耗している側が、効率でも負けていれば、消耗戦から抜け出せるはずもないですよ。ヤン先輩、くれぐれも気を付けて下さいよ」
そんな会話を聞きながら、最新情報でいよいよ彼が元帥に昇進した事に思いをはせていた。彼が元帥になった以上、前線で帝国軍が万全の状態で戦えるように、さらに手配りするだろう。本来なら事業家になりたかったという話をボリスから聞いた時は、そんな運命のいたずらもあるのかと思ったが、進みたかった道へ進めずに軍人になるというのは、過去の歴史から見ても星の数ほどある話だ。そして、歴史に残る偉業を成し遂げる事も......。
「そういえば、以前ヤン先輩の話に出てきたリューデリッツ伯爵ですが、元帥に昇進したのがきっかけで、ジャーナリストの親父が調べてみたそうです。詳しくは記事にしてからと言われましたが、『こっち側に生まれていたら素直にファ
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