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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
71話:異動
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ない判断をした。折角、軍部貴族が団結している所に、派閥形成の要因になるようなことはしたくなかったという部分と、ルントシュテット伯爵家のディートハルトを始め、未来の帝国軍の重鎮候補たちへの育成プランに、新しい取り組みを組み入れる為だ。
具体的には任官後、1〜2年は後方支援部門や憲兵隊などで、ある程度決済を持たせて仕事をさせ、その後に各艦隊司令部を経験させてから、相性や適性に基づいて、参謀や戦闘艦の指揮に充てる。その後に分艦隊司令などを経て、艦隊司令官にするようなプランだ。もともと功を競い合って、協力する姿勢が薄かった帝国軍だが、第二次ティアマト会戦をきっかけにそういう風潮は薄れた。ただ、戦況が優勢なこともあり、次代でそれが元に戻るようなことが無いようにという配慮だ。先代のシュタイエルマルク伯爵の遺言の様な提案書が元になっている。軍内部に反対する者はいなかった。

国歌である『ワレキューレよ永遠なれ』が鳴り響き、兄貴が退場する。この後は祝賀パーティーが予定されているが、まだ間がある。控室でお茶でも飲むことにしよう。黒真珠の間を退出すると、通路の壁際には若手士官たちが控えていた。俺を見つけて、新任の副官が歩み寄ってくる。

「閣下、お疲れ様でした。祝賀会まで少し間がありますが如何なさいますか?」

「待たせたね、ロイエンタール卿。控室でお茶でも飲んで、少しゆっくりしよう。どうも堅苦しいのは肩がこるからね」

言葉を交わしながら、控室へ歩みを進める。ロイエンタール卿は副官と言っても見習いに近い。同じく副官役のビッテンフェルト少尉と交代で俺に付き添っている。ビッテンフェルト少尉はロイエンタール卿の同期で、戦術シミュレーションでは攻勢がハマれば無敗と言う、極端な人材だ。長所を殺すようなことはしないが、他の事もある程度は出来ないと、万が一の事もある。ロイエンタール卿がバランス型の人材なので、日々、色合いが変わるので楽しませてもらっている。
とはいえ、実務担当はシェーンコップ少佐とメックリンガー少佐だ。地球教対策への貢献を理由に昇進させ、決裁権を持たせて業務を割り振っている。新任の2人が副官業務の馴れてきたら、転出させて艦隊参謀としての経験を積んでもらうつもりだ。オーベルシュタイン大佐の情報部の分室も経験させたいし、ケスラー大佐が担当する憲兵隊の分室に行かせても良い経験になるだろう。後任はルントシュテット伯爵家の嫡男ディートハルトとその仲間たちだ。テオドールも3個艦隊規模の駐留基地の立ち上げが完了すれば中将だし、彼の下でも良い経験が出来るだろう。兄貴から預かったミューゼル卿と赤毛の側近候補もいずれはこのレールに乗せるつもりだ。なんとかこの取り組みが成功してくれればよいが......。


宇宙歴788年 帝国歴479年 1月中旬
首都星ハイネセン
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