第五章
第52話 黒い火
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
ポカリと一回叩いた。
***
「どうだった?」
部屋をあとにして廊下に出ると、女将軍ファーナが寄ってきて声をかけてきた。
「陛下に頭を叩かれました」
「そうなのか? リクが無事だという知らせがあったときは、陛下はずいぶん喜んでいたが」
「……」
「これは愛のムチというやつだな。そうか、なるほど」
よくわからないが、勝手に納得して去っていった。
そして次はヤマモトがやってきて、「打ち合わせの時間までは、子供たちが寝ていた大部屋で待機するように」と伝えられた。
子供たちは今それぞれの仕事があって不在のようで、タケルとカイルだけがその部屋で待機中らしい。
――さて。
「クロ、ありがとな」
歩きながらあらためて礼を言う。
「何か褒美が欲しくなったりはしないのか? 希望があれば用意するぞ。俺が用意できるものであれば」
クロは目を伏せたまま、少しだけそのまま歩いた。
そして俺のほうを振り返り、答えた。
「いや、要らない」
「そうか。相変わらず欲がないな」
「……私はあれで十分だ」
ん? 『あれ』?
何かあげたっけ?
そう思いながら、部屋に向かった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ