第七幕その三
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「大阪城のね」
「そうだったのね」
「私もあの天守閣好きなのよ」
「恰好いいし奇麗よね」
「まさに日本の芸術よね」
「本当にそう思うわ」
エリカにしてもでした。
「私だってね」
「そうよね」
「ついでに言うと天守閣の一番上に左右にあるお魚ね」
「ああ、あれね」
「あの金色のお魚だね」
臆病ライオンと腹ペコタイガーがそのお魚について述べました。
「あれ恰好いいよね」
「迫力あるわね」
「私あれも好きだけれどね」
「あれは鯱っていうんだって」
ジョージは日本人の恵梨香を見つつエリカに答えました。
「空想上のお魚らしいよ」
「実際にはいないの」
「うん、火除けのものだっていうよ」
「ガーゴイルみたいなものね」
「日本で神社の狛犬やシーサーだね」
「そうしたものなの」
「そう、火除けまあ魔除けって言ってもいいかな」
鯱はというのです。
「あれはね」
「成程ね、何かね」
「何か?」
「あのお魚食べたら」
こんなことを言ったエリカでした。
「美味しくないって思ってたけれど」
「あれは確かにね」
「美味しくなさそうでしょ」
「そうだね」
ジョージも同意でした。
「見たところね」
「だから別にいいわ」
「エリカは興味ないんだ」
「どうでもいい感じね」
「火除けになるのに」
「それでも私としてはよ」
あくまで自分の考えを言うエリカでした。
「あのお魚はね」
「どうでもいいんだ」
「そうよ、お魚は何といってもね」
「美味しいかどうかなんだ」
「何か食べても美味しくないなら」
「興味ないんだ」
「その通りよ」
「あれっ、けれど不格好なお魚こそ美味しいよ」
腹ペコタイガーはとても食いしん坊なのでこのことがよくわかっています、実際にお魚もかなり食べてきています。
「鮟鱇でも河豚でもね」
「だからなの」
「鯱も美味しいかも知れないよ」
「そうなのね」
「若し鯱を食べる機会があったら」
その時はというのです。
「エリカも食べてみたらいいよ、一口でもね」
「それで実際に美味しかったら」
「どんどん食べればいいじゃない」
「まあね、食べないうちからまずいって思うのはよくないね」
臆病ライオンは親友の腹ペコタイガーに近い考えでした。
「やっぱりね」
「それじゃあ私も」
「鯱を食べる時はね」
「まずは食べてみる」
「そうすればいいんじゃないから」
「そうなのね」
「まあ鯱は大きいししかも強そうだから」
ここでこうも言った臆病ライオンでした。
「逆にこっちが食べられるかも知れないけれど」
「食べるつもりでも」
「そうなるかも知れないけれどね」
「海であんなお魚に出会ったら」
それこそとです、アンは思うのでした。
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