暁 〜小説投稿サイト〜
永遠の謎
302部分:第二十話 太陽に栄えあれその十四

[8]前話 [2]次話

第二十話 太陽に栄えあれその十四

「そうなればいいのだ」
「あの方を理解する方が増える」
「それがなのですか」
「よいのですか」
「しかしそれが最も難しい」
 見事なまでのだ。パラドックスだった。
「あの方を理解できるのは頭ではないのだ」
「では何なのでしょうか」
「あの方を理解する為に必要なのは」
「それは」
「感覚だ」
 それだというのだ。
「それがあの方を幸せにできるものだ」
「感覚、ですか」
「それでバイエルン王をですか」
「理解できるのですか」
「そうだ、それこそがなのだ」
 こう言うのである。
「感覚こそがだ」
「感性とも言うのでしょうか」
「そうとも言う」
 その通りだとだ。問うた側近にも答えた。
「とにかくだ。あの方を理解するのは頭ではないのだ」
「感覚、感性で」
「それはできるのですか」
「頭脳というものはだ」
 その頭について話すビスマルクだった。
「意外とあてにはならないものだ」
「そうなのですか?」
「あてにはならないのですか」
「頭が」
「案外あてにならない」
 ビスマルクはまた言った。
「確かに重要だがあてにならないのだ」
「それは何故でしょうか」
 側近の一人がすぐに問うた。
「何故頭があてにならないのでしょうか」
「わかった気になるからだ」
 それでだというのだ。
「そのせいだ」
「わかった気になってしまう」
「だからですか」
「頭脳はあてにはなrなあい」
「そうなのですか」
「そうだ。わかった気になって実はわかっていない」
 ビスマルクはその頭について話していく。
「それが最も厄介なのだ」
「頭が全てではないのですか」
「つまりはそうですか」
「そうだ。頭でわかることは少ない」
 ビスマルクは今度は強い光をその目に宿している。
 そうしてだ。彼は話すのだった。
「それだけが全てではないのだ」
「それで感覚もなのですか」
「それもまた重要になる」
「そういうことですか」
「万能なものなぞないのだ」
 政治にも言えることだった。実際にビスマルクはプロイセンが万能だとは思っていない。そうした考えは全く持っていないのだ。
「だからだ。感性なのだ」
「バイエルン王を理解するには」
「それが重要になりますか」
「知識は頭に入れてだ」
 そのうえでだというのだ。
「そしてそのうえでだ」
「感性で理解する」
「そうあるべきなのですね」
「その通りだ。あの方は感性で理解するのだ」
 そうあるべきだというのだ。そうしてだった。

[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ