第九話 枕カバーを見るのが辛い
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
私だけではない、統帥本部総長も司令長官も心なし髪の毛が薄くなったような気がする。多分、いやきっとあれの所為だろう。あれの所為に違いない。これが続けば帝国軍三長官は三人とも禿げ頭になるに違いない。帝国軍三長官に就任する事の代償が禿げ頭になる事だと知ったら三長官になりたがる人間は一気に減るだろうな。
朝起きた時に枕カバーに付いている抜け毛を見ると気が滅入る。朝食も美味く無ければ職場へと運ぶ足取りも重い。それでも我々は帝国のために耐えているのだ。それなのにあの馬鹿たれが! レポートを書きたくない? 私が三回溜息を吐いた? それが如何したというのだ。文句が有るのなら髪の毛を返せ! 我らの髪の毛が無くなるのが先か、レポートのネタが無くなるのが先か、勝負と行こうではないか。
視界の端にローエングラム伯が居る。面白くなさそうな表情だ。遠征を却下された事が余程に不満らしい。フン、少しは耐えるという事を覚えろ。最近は根性の無い若造が多過ぎる!
「今は何を?」
司令長官が訊ねてきた。
「官舎に戻ったようだ。護衛付きでな」
「一安心か」
「うむ」
統帥本部総長と司令長官が安堵の表情を見せている。だが一時的なものだ。明日の朝になれば枕カバーを見て暗澹とするに違いない。我らが心の底から安心する日が来るのは何時の事だろう。溜息が出そうだ……。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ