暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜其処に有る危機編
第九話 枕カバーを見るのが辛い
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
し皆もそう思っている。卿は関係ないってね。だが伯はそう考えていない」
「……」
「卿の事を自分の邪魔ばかりすると敵視している」
暗い表情だ、結構深刻らしい。悪い方向に進んでいるらしい。何でこうなるのか……。頭痛いわ。

「馬鹿馬鹿しい話だ、私が副司令長官になった方が良かったとでも思っているのかな」
ミュラーが肩を竦めた。
「それは無いだろうな。だが周囲はローエングラム伯よりも卿を評価している。面白くないのだろう」
要するに俺の事が気に入らないって事か。ガキにはうんざりだな。

「……教えてくれた事に感謝するよ。もう戻った方が良い、私と一緒に居るのは卿らの為にならない」
二人が“気を付けろよ”と言って離れて行った。それを見届けてからベランダに出た。アベックが数組居る。こんなところでいちゃつくな。俺は少し考えたい事が有るんだ。……中庭に行くか。

ベランダから庭に出ようとすると二人の警備の兵に誰何された。近衛兵だ。どちらも未だ若い。
「ご苦労様です。小官はエーリッヒ・ヴァレンシュタイン中将です。人に酔ったようです。少し庭で涼みたい」
二人が顔を見合わせている。駄目かな?
「校長閣下でいらっしゃいますか?」
「……そうです」
「失礼しました! どうぞ」
二人がしゃちほこばって敬礼してきた。答礼しながら思う、私は誰? ここは何処?

中庭に出た。満天の星空、月が綺麗だ。此処なら一人で考えられる。問題は帝国で何が起きているのかだ。俺が祝賀会への出席を命じられた事、フリードリヒ四世が俺に言葉を掛けた事、そしてラインハルトの遠征の却下、これらが無関係だとは思えない。いかん、それにカストロプ公の謀殺が加わるな。この四つがどう絡むのか……。

先ずカストロプ公の謀殺だがこいつは平民達の不満を解消するのが目的だろう。捕虜交換、間接税の軽減で平民達の不満は多少解消された。此処でカストロプ公爵家を潰せば効果は大きい。カストロプ公は評判の悪い男だ、潰せば平民達は喜ぶだろうしその財産を接収すれば財政的にもかなりプラスだ。間接税の軽減を年内だけじゃなくもう少し延ばす事も出来るだろう。つまりリヒテンラーデ侯は国内情勢、平民達の不満を危険だと考えていると判断出来る。原作でもそういう記述が有ったから納得は行く。

そして遠征の却下だがリヒテンラーデ侯はラインハルトに簒奪の意志が有ると疑っている。武勲を立てさせるのは危険だと考えているのだ。つまり積極的な外征は望ましくないという事になる。となればリヒテンラーデ侯はラインハルト抑制のためにも内政を優先する事を掲げるだろう。

今回のカストロプ公の謀殺、もしかするとそれの為かもしれない。カストロプはオーディンに近い。そこで反乱が起きる。外征などよりも内政重視だと周囲には言い易い。政府の方針を一変さ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ