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清水港の鮪
第三章

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 これまでにない斬新な動画に多くの人が注目して閲覧もチャンネル登録も増えた、ユーチューブだけでなくニコニコ動画にも動画をあげているが。
 書き込みが増えた、動画サイトは大人気で波音は事務所で最新動画の評判をユーチューブのコメントやニコニコ動画の書き込みを見て満足した顔で言った。
「いけてます」
「そうね、お空からの動画がね」
「人気ありますね」
「これまでにない動画だってね」
「斬新で躍動感もあって」
「いいってね」
「好評です」
 ここでは控え目に言った波音だった、大好評とは言わなかったのだ。
「本当に」
「閲覧数もチャンネル登録も増えてね」
「いい感じです」
「これはいい流れね」
「はい、じゃあこのまま」
「お空から撮影している動画もね」
 波音の空を飛べる能力を使って撮影したそれをだ。
「あげていきましょう」
「それがいいですね」
「ええ、それとね」
「それと?」
「やっぱりあれよ」
 先輩は笑って波音に話した。
「私もこれで顔とスタイルに自信があるし」
「まさか」
「そのまさかよ、波音ちゃんが嫌だって言うなら」
 それならとだ、笑ったまま言うのだった。
「私がね」
「水着になってですか」
「そうしてね」
「動画にですか」
「出ようかしら」
「あの、それは」
 波音は先輩の言葉に眉を曇らせて答えた。
「あくまで清水港の動画ですから」
「水着はなの」
「あまり」
 こう言うのだった。
「賛成出来ません」
「私でもなの」
「はい、真面目にいきましょう」
「真面目に清水港をなの」
「あげていきましょう」
「ううん、効果があるのに」
「真面目に効果を出していきましょう」
 あくまで真面目に言う波音だった、かくして先輩も水着になることはなかった。それで波音が言う真面目な路線で動画が作成されていくのだった。
 それで鮪の刺身を食べる動画もあげたが。
「やっぱり最高ですね」
「ええ、鮪は清水のに限るわね」
「本当にそうですよね」
 この動画を英語や中国語、スペイン語に翻訳した動画をそれぞれ作成してみた。これも先輩のアイディアだったが。
 こちらも好評でだ、先輩は波音に言った。
「何でもやってみるね」
「はい、翻訳してもいいですね」
「折角世界から観光客の人が来る様になったし」
「こういうことでもですね」
「頑張っていきましょう」
「そうですよね」
 二人で話してだった、そうした動画もあげていった。そうして清水港の宣伝に励んでいくのであった。


清水港の鮪   完


                   2018・10・26
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