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永遠の謎
300部分:第二十話 太陽に栄えあれその十二
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第二十話 太陽に栄えあれその十二

「動かない方がいいのだ」
「あの王はそのことがわかっておられたのですね」
「それでなのですか」
「軍を動かされなかった」
「ほぼ中立だったのですね」
「その通りだ。あの方は全てわかっておられたのだ」
 戦争の推移がだというのだ。そしてだ。
 その他のこともだ。彼は話した。
「そしてわかっておられるのだ」
「今のことがですか」
「そしてこれからのこともですね」
「そうだ。わかっておられるのだ」
 全てだ。王はわかっているというのだ。
「ドイツは統一に向かっている」
「バイエルンもその中に入る」
「そのこともですか」
「バイエルンの内政はどうか」
 急にだ。話をそこにもやった。
「あの国の内政は破綻しているか」
「いえ、全く」
「平穏です」
「財政的にも落ち着いています」
「そういうことだ」
 ここまで話してそれがだというのだ。
「あの方は王として見事な資質を持っておられるのだ」
「何もかもですか」
「わかっておられ」
「そのうえでバイエルンにおられる」
「それがあの方ですか」
「王としての資質はようやく世間に理解されてきた」
 やっと、と。ビスマルクはここでも王に好意的であった。
 そしてその好意的なものをだ。さらに見せるのだった。
「私や限られた者にしかわからないことだったが」
「しかしそれがですか」
「ようやく他の者にも」
「理解できてきたと」
「真のものは自然と出て来るものだ」
 こんなことも話すビスマルクだった。
「つまりだ。あの方はだ」
「その真であると」
「左様なのですね」
「そうなのだ。だが」 
 また話が変わった。しかし王について話すのは変わらない。
「その資質は女性としての資質だ」
「あくまで女性なのですか」
「あの方は」
「その通りだ。女王と言うべきか」
 この言葉が出される。
「あの方はな」
「麗しの女王ですか」
「まさにそうなのですね」
「エルザそのものと言うべきか」
 そのヒロインだとだ。ビスマルクはまた言うのである。
「エルザ=フォン=ブラバントなのだ」
「だからこそ騎士をですか」
「迎えなければならないのですか」
「あの方の場合は」
「その通りだ。神の悪戯か」
 ビスマルクの目がふと顰められた。
 そのうえでだ。こう話すのだった。
「神の悪戯なのか、あれは」
「神の悪戯ですか」
「バイエルン王が男性なのは」
「それはですか」
「御心は女性だが身体は男性だ」
 そのことがだというのだ。
「奇妙な、そして残酷な」
「残酷な」
「そうした悪戯ですか」
「それなのですか」
「神は時として悪戯をする」
 それは歴史を見てそうだというのだ。神はそうしたことをす
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