第八話 士官学校校長って閑職だったよね?
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さく笑った。俺は平民で若過ぎる中将、リューネブルクは逆亡命者、どちらも歓迎されない。という事で祝賀会、祝勝会ではいつも一緒だ。適当に食べて適当に帰る。今も俺達の周囲には人がいない。
「宇宙艦隊の司令官達は来ないのですか?」
「来てはいますが近付くなと頼みました。ローエングラム伯の機嫌を損ねる事も無いでしょう」
「それは中将がですか? それとも司令官達が?」
「両方です」
ラインハルトは宇宙艦隊副司令長官だから上座で皇帝の傍に居る筈だ。ミュラー達もその傍にいるだろう。窮屈だろうな。その点士官学校の校長は閑職だから何処に居ても問題は無い。そういう点でもこの職は良い。
「財務尚書カストロプ公が亡くなったそうですな」
「ええ」
昨日、カストロプ公が死んだ。宇宙船の故障による事故死だが人為的なものだろうな。帝国は守勢を取る、つまり内政重視だ。評判の悪いカストロプ公はお払い箱というわけだ。
「大きな声では言えませんが謀殺だという噂が有ります」
リューネブルクが囁いた。眼は俺をじっと見ている。
「だとしても驚きませんね。殺しても何処からも苦情は出ないでしょう」
「そうですな」
リューネブルクが満足そうに頷いた。貴族からも顔を顰められるのがカストロプだ。俺にとっても両親の仇でも有る。ザマーミロと思っても罰当たりではないだろう。
「次の財務尚書はゲルラッハ子爵だそうです」
「そうですか」
このあたりは原作と同じだ。問題はマクシミリアン・フォン・カストロプだ。こいつが反乱を起こす。いや反乱にまで追い込まれる。アルテミスの首飾りを使うのかな? だとするとあのレポートが役に立つんだが……。
「そろそろ帰りますか?」
「そうですね、もう良いでしょう」
祝賀会も三十分以上経った。二人で帰ろうかと話している時に俺達を目指して人がやってきた。レオポルド・シューマッハ大佐、急ぎ足でやってくる。嫌な予感がした、思わず溜息が出た。
「ヴァレンシュタイン中将」
「はい」
「陛下がお呼びです、こちらへ」
シンとした。いや、周りに人は居ないんだけどそれなりにざわめいてはいたんだよ。そのざわめきが消えた。リューネブルクが口笛を吹いた。面白そうな表情をしている。おい、不敬罪だぞ。
「あー、何かの間違いでは?」
「間違いでは有りません」
「既に帰ったという事には」
「出来ません、皆が見ております」
確かに周囲の人間が俺達を見ている。でも俺が視線を向けると露骨に避けるんだ。何で?
「分かりました」
「ではこちらへ」
シューマッハの後について歩く。何の用だろう? フリードリヒ四世の気紛れかな? 多分そうだろう。爺様連中は俺がフリードリヒ四世に近付く事を喜ばない筈だし門閥貴族の連中だって喜ばない筈だ。俺も喜ばない。
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