第八話 士官学校校長って閑職だったよね?
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で国家を歌うのは久しぶりだ。何となく嬉しくなった。
「続きまして校長閣下より御言葉が有ります。ヴァレンシュタイン校長、お願いします」
壇上にヴァレンシュタイン校長閣下の姿が現れた。マイクに向かう。
「おはようございます」
“おはようございます”、皆で大きな声で挨拶をした。
「こうしてまた皆の顔を見る事が出来て大変うれしく思っています」
やっぱり校長閣下の声は落ち着くよ。良いなあ。
「新学期にあたり皆に考えて欲しい事が有ります」
考えて欲しい事? 何だろう?
「帝国は今、自由惑星同盟と称する反乱軍と戦っています。では帝国が戦っている反乱軍とは何なのかを考えて欲しいのです。人口はどのくらい有るのか、兵力はどのくらいあるのか? 軍の組織はどのようなものが有るのか? 統治の組織はどのようになっているのか?」
えーっとどうなっているんだろ? 周りも皆困惑している。
「戦う以上、相手の事を知らなければ勝てません。そして相手の事を知ったらその弱点を調べ如何すれば勝てるか、勝つためには何が必要かを考えて欲しいのです。目の前に現れた反乱軍の艦隊を叩く事も大事ですが反乱軍そのものを降伏させる方法を考える事も大事です。諸君には少し難しいかもしれない。しかし考えて欲しい。お願いします」
始業式が終わり大講堂から教室に向かう途中、ハルトマン、エッティンガー、バウアー、トイテンベルク、ヴィーラントと話した。でも分かった事は僕らは反乱軍の事を何にも知らないって事だった。孫子には『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』って書いてあるのに……、情けないよ。
帝国暦487年 9月 1日 オーディン 士官学校 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
始業式が終わり大講堂から校長室に戻るとTV電話にメッセージランプが点灯していた。誰だか知らないが朝から連絡して来た奴が居るらしい。ミュラーかな? 再生すると軍務尚書エーレンベルク元帥だった。ゲロゲロ。
『戻り次第連絡せよ、至急だぞ』
連絡が欲しいならもっとにこやかな顔をしろよ。そんな不機嫌そうな表情と声で言われても連絡なんぞする気にならん。どうせなら『おはよー』とか言ってみろ。大体何で『至急だぞ』に力を入れるかね。俺はすっぽかす様な事はしていないぞ。
溜息が出た。そんな俺をヴァレリーがクスクス笑いながら見ている。また溜息が出た。
「席を外した方が宜しいですね」
「そうして貰えますか」
ヴァレリーが部屋を出るのを確認してからエーレンベルクに連絡を取った。スマイル、スマイル、新学期なんだ、機嫌良く行こう。エーレンベルクの顔が画面に出た。……なんで今日は終業式じゃないんだろう。
『エーレンベルクだ』
「おはようございます、ヴァレンシュタインです。今日は始業式でしたので席を外
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