アインクラッド 後編
還魂の喚び声 2
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
対してジュンは再び《射て星》で大太刀を突き出してくる。
「せッ――!」
マサキは掛け声を発すると、蒼風の切っ先を真正面から大太刀の切っ先に衝突させた。瞬時に衝突時のデータによる物理演算が行われ、その結果蒼風は見事ジュンの大太刀を彼の手から弾き飛ばした。
武器同士が衝突した場合、攻撃の速さや武器の重さ等によってその結果が算出される。当然、速い、重い方が有利となるが、ソードスキルとそうでない攻撃が衝突した場合は別だ。ソードスキルによる攻撃はただ武器を振っただけの攻撃よりも強く、速いため、ある程度の重量差であれば簡単にひっくり返してしまう。
つまり、ジュンが硬直無視攻撃に見せかけていたのは、何らかの方法でエフェクトだけを後付けした猿真似だった。ソードスキルではないから硬直時間など存在せず、足の位置を間違えても不発にはならない。防御力がないとはいえレベルのおかげで量だけは多いマサキのHPを一撃で四割削り取るだけの威力もない。逆にそこから派生したソードスキルは威力を重視して本物を使ったため、通常の硬直を課せられた。
「ようやく、化けの皮が剥がれたな――!」
「マ、サキィィィィィ!!」
大太刀が彼の背後に落ちると同時に、ジュンは歯をギリギリと擦ってがなり立てる。その姿はまるで月の光を浴びた狼男のようだった。
マサキは大太刀を弾き飛ばした後も、足元に落ちた短剣の柄を足場にしつつ突きを放った。同じ場所に攻撃を当て続けることで攻撃力が上がる特性を持つ九連撃の刺突技《吹断》。弱点である頭部に残りの八発を全て命中させ、ジュンのHPがガクッと削られる。更にマサキは至近距離まで接近し、強烈なアシストを受け蒼風を神速で振るう。《風刀》スキル三連撃技《刃風》。
「……あーあ。せっかくあの世で再会させてやろうと思ってたのに。結局殺れたのはあの女一人だけかよ」
「何……!?」
もはや雀の涙ほどになったジュンのHPを削りきろうとしていたマサキの手がピタリと止まる。それを見て、ジュンは開き直ってフンと笑い、濁った目でマサキを見た。
「あ? 何だよ、早く殺れよ。もう何人もそうしてきたんだろ、《穹色の風》さんよォ」
「お前……今……!」
「何だよ、疑ってんのか? それなら証拠を聞かせてやるよっと」
死を間近にして急にチンピラのような口調に変わったジュンが一つの記録結晶を取り出し、再生。間髪入れずに流れたのは、音だけで恐怖に震え上がったと分かるエミの声だった。
『い、や……嫌ぁ……っ』
『嫌……助けて、マサキ君……っ』
「お前
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ