第七十六話 ローマに行ってその四
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「これまで時間をかけたこともです」
「無駄じゃないか」
「むしろです」
「時間をかけたからか」
「よりよいものになるかと」
「仕込みには充分な時間だったかしら」
留美は考える顔でこう述べた。
「私は途中参加だったけれど」
「そうだろうな、随分時間がかかっても」
「仕込みにはね」
「充分な時間だったかもな、全員揃えたからな」
「それじゃあね」
「また言うけれどローマに戻ってな」
「あそこで旗揚げね」
留美はまた言った。
「そうするのね」
「戻ったらすぐにな、あの街の勢力はもうな」
「旗揚げ前に糾合するのね」
「教会やら地元の貴族やら色々いるけれどな」
その彼等をというのだ。
「一つにまとめてな」
「そうしてね」
「それから旗揚げだよ」
そうしたことが済んでからだというのだ。
「その勢力の兵達も入れてな」
「そして聖職者や貴族達をね」
「人材に登用してな」
「彼等の力も借りて」
「旗揚げだな、まあ従わない奴は仕方ないにしても」
それでもとだ、久志は腕を組んで考える顔で述べた。
「ついてきてくれる連中はな」
「人材としてね」
「登用してな」
そしてと言うのだ。
「旗揚げだよ」
「そうしてローマからね」
「どんどん勢力を拡大してな」
「統一ね」
「それを目指すな、全ての道はローマに通ずっていうからな」
この島でもそう言われている、交通の要衝であり陸路も水路も発達している。その為商業も極めて盛んなのだ。
「すぐ傍に肥えた土地も広がっていてな」
「その土地も手に入れるとね」
「余計にいいしな」
剛にもこう返した。
「だからな」
「ここはだね」
「ああ、是非な」
「ローマで旗揚げだね」
「他の街もあるが」
旗揚げの候補地、そこはというのだ。
「この島でそれに一番いいとなると」
「やっぱりローマになるよね」
「最初が肝心だからな」
久志はこうも言った。
「何といってもな」
「そう、何でもね」
「最初がよくないとな」
「中々進まなかったり後で問題が出たりするからね」
「スポーツも立ち上がりだろ」
こちらの分野もというのだ。
「立ち上がりがよくてこそな」
「そうそう、野球でもね」
「立ち上がりが悪いピッチャー不安だからな」
いきなり打たれたりして失点を被るからだ、時として初回の一点がそのまま決勝点になったりするのも野球だ。
「だからな」
「最初の旗揚げの場所はね」
「選ばないとな、そしてね」
「あそこしかないね」
「ローマな、じゃあな」
「ローマ行こうね」
「今からな」
こう話してだ、双葉を仲間に向かえた一行は旗揚げの為にローマに向かうことになった。だがその途中だ。
船でカレーに戻りそこからパリに戻った時にだ
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