69話:側近
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性は無いのでしょうか?過去にも疑似的な停戦状態となった時期がありましたが......」
「私の口からは何とも......。可能性が無いとは言いませんが、帝国内でそれを言って無事でいられるのは皇帝陛下ぐらいでしょうね。ただ、政府と軍部は全力で反対する事になると思います。叛乱軍の政体は民主主義でしたね?既に戦争状態に突入して150年近く経ちますから『親しき人たちを失った恨みを捨てて、和平を!』という主張より『犠牲を無駄にするな!悪逆なる帝国を打ち倒すまで闘い抜こう!』の方が、多数の支持を集めるのではないでしょうか?
あと1000万人も戦死すれば状況は変わるかもしれませんが、そうなると戦況は圧倒的に帝国優位となります。『和平』ではなく『敗戦講和』でないと、今度は帝国が受け入れませんし、そこまで行くなら、将来の禍根を断つ意味で完全征服したほうが良いかもしれませんが......」
「確かにそうですね。フェザーンにいると、どうにも両国の犠牲を数字でしか把握しておりませんでした。その向こうにある感情にまでは思い至りませんでした」
「それで良いのです。貴方は投資家だ。汗水たらして稼いだ1万帝国マルクも、賭け事で得たあぶく銭の1万帝国マルクも、同じものとして見なければ務まらない稼業ですからね。そういうのは政治家に任せてしまえば良いのです。そういう意味では、適性が『投資家』向きなのですから、私としては尚更RC社に来ていただきたいくらいですよ」
元気づけようという意図もあるのだろうが、伯はすこし茶化す雰囲気だった。確かに余計なことは考えずに、成果が数字で明確になる道の方が性に合っているだろう。
「どちらにしても、お子様が5歳になるまでは星間移動は控えたほうが良いのは変えられぬ事実です。定期的に比較的大きめの投資案件に関しては、事前にご相談させて頂きたいですね。担当は、現在、RC社を実質的に仕切っているケーフェンヒラー男爵が後継者と見込んでいるシルヴァーベルヒに担当させます。まだ大学を出たばかりですが、少なくとも帝国全体を見て物事を考えられる人材なので、貴方にも鍛えてもらえれば幸いです」
確かに答えを急いで出す必要はないのかもしれない。初めての経験になる子育てをしながら、色々と考えてみれば良い。少なくともRC社の幹部になれる人材だとお墨付きは得たのだから。
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