第6章:束の間の期間
第178話「魅了の傷跡」
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例えそれが夜天の書が覚醒する前の事だとしても、一切精神干渉に気付かせる事がなかった。
……そんなのが、レアスキルの枠に収まるはずがない。
「じゃあ、なんだってんだよ……!」
「……先に言ってしまえば、神夜君も被害者の一人に過ぎないかもしれないんだよ」
「どういう、事なの……?」
ヴィータちゃんだけでなく、アリシアちゃんも疑問に思って私に尋ねてくる。
奏ちゃんにアイコンタクトを送り、とりあえず知っている事は伝える事にする。
「帝君曰く、神夜君に魅了の力の事を問い質したらしいけど、返ってきた答えは“知らない”の一点張り。無自覚だった事もあって、誰かにその力を与えられた可能性があるの」
「……誰か、って……」
「そもそも、魅了の事を抜きにしても神夜君は悪人の性格をしていると思う?皆を騙して善人の振りをしていると思える?……性質としては、質が悪いとはいえ善人だよ、神夜君は」
私の言葉に、怒りが抑えられたかのように口籠るヴィータちゃん。
他の人達も、そういえばと思い当たったみたいだ。
「じゃあ、司達は神夜を操ってる黒幕がいると思っているの?」
「思う……と言うか、ほぼ確実にいるよ。これは推測だけど、以前に現れた攻撃が通じない男や、今回の事件を引き起こしたロストロギアとも関係があると思ってる」
「根拠は……?」
少し震えた声で、アリシアちゃんがさらに尋ねてくる。
正体が不明な存在二つと関わってくるのだから、気になるのだろう。
「関係していると思うのは雰囲気やその“謎っぽさ”からだから根拠とは言えないよ。でも、背後に何かいるのは確信してるよ」
「確信……」
断言した私を見て、アリシアちゃんは目を見開く。
自信を持って言ったから、それだけの根拠があるのだと驚いたのだろう。
「アリサちゃんとすずかちゃんは知っているよね?優輝君の以前は持っていた力」
「えっと……確か、人の力を数値に表すゲームのステータスみたいなものよね?」
「その通り。今は失われて使えない力だけど、当時のステータスはデータに残していたんだよ。それが、これだよ」
シュラインにデータを提示するように操作する。
提示するのはステータスの称号の部分。
他にも情報はあるけど、今は必要な部分だけでいい。
「傀、儡……これって……」
「これが根拠。間違いなく、神夜君は利用されている。それこそ、ただの駒のように」
同時に、私たちが恐れている理由でもある。
人一人に干渉し、利用するのであれば、相応の事はなんでもできるという事。
いざとなれば、今ここで私たちに何か仕掛けてくるかもしれないと考えられる。
「別に神夜君を許せ、とは言わないよ。無自覚と
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