第六幕その七
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「お願いがあるけれどいいかしら」
「お願いといいますと」
「ええ、貴女達の蜂蜜を舐めさせて」
こう言うのでした。
「そしてね」
「味を確かめてですか」
「何がよくて何が悪いのかをね」
「確かめてくれますか」
「そうさせてもらうわ」
「わかりました」
女王バチも頷きました、そしてです。
アンは巣の蜂蜜を少し舐めさせてもらいました、そのうえで女王バチに少し考えているお顔になって言いました。
「美味しいわ」
「そうですか」
「ええ、ただね」
それでもというのです。
「物足りない感じがね」
「しますか」
「貴女達が満足していない理由がわかったわ」
「そうですか」
「何かが足りないのよ」
この巣の蜂蜜にはというのです。
「どうもね」
「では私達が納得していないことは」
「わかったわ」
「そうですか」
「ええ、ただね」
「それでもですか」
「何が足りないのか」
このことはというのです。
「どうもね」
「わからないですか」
「ううん、何が足りないのかしら」
「あのね」
ここでエリカが言ってきました。
「お花から蜜を採ってるのよね」
「はい」
女王バチはエリカにも答えました。
「そうです」
「あらゆるお花から採ってるのよね」
「そうです、この森にあるお花と」
「森の周りのお花から」
「蜜を採っていますが」
「それでもなのね」
「どうもです」
困った感じで項垂れて言う女王バチでした、他のミツバチ達より大きなお身体がそうなってしまっています。
「これが」
「満足出来る結果が出なくて」
「困っています」
「そうよね、だったらね」
「だったら?」
「ちょっと採っているお花言ってみて」
蜜をというのです。
「今思ったけれど」
「お花の種類をですか」
「ええ、そうしてくれるかしら」
「それでは」
女王バチは頷いてでした、そのうえで。
実際にエリカ達に蜜を採っているお花の種類を言っていきました。
「まつは菖蒲です」
「菖蒲ね」
「はい、菫に」
このお花もというのです。
「百合、チューリップ、マーガレット、デイジー、ヤグルマギク、ダリア、クローバーにです」
「他には?」
「苺、近くの農家からです」
「あら、美味しそうね」
「それと菊、蒲公英もです」
このお花もというのです。
「梅や桜、桃も」
「いい感じじゃない」
「それに林檎や無花果、枇杷、葡萄、梨とです」
「果物が多いのね」
「甘いですから」
だからだというのです。
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