第一章
[2]次話
全教科で
嶋澪浬は学校の勉強は苦手である、俗にもう少し頑張りましょうと言われる成績だ。だが今回のテストは違っていた。
「えっ、全教科!?」
「全教科追試!?」
「あんたそうなったの」
「全部の教科でって」
「いや、やっちゃったわ」
流石の澪浬も困った顔で友人達に答えた。
「今回は」
「やっちゃったどころじゃないでしょ」
「全教科って何よ」
「これ下手したら留年でしょ」
「下手しなくてもやばいでしょ」
「うん、本当に担任の先生に言われたわ」
困った顔のまま言う澪浬だった。
「このままだとね」
「本当にやばいってよね」
「留年だって」
「そう言われたのよね」
「ええ、だから今度の追試は」
それではというのだ。
「絶対にって言われたわ」
「全教科合格ね」
「そうなれって言われたのね」
「そうしろって」
「そうなの、本当にね」
絶対にというのだ。
「言われたわ」
「じゃあ絶対に合格しないとね」
「全教科ね」
「留年しない為によ」
「そうならないと駄目よ」
「わかってるけれど」
澪浬の表情は変わらない、困った顔のままだ。それでその顔のままでまた友人達にこう言うのだった。
「全教科ってね」
「いや、普通はね」
「全教科そのまま追試にならないでしょ」
「普通の成績なら」
「大丈夫でしょ」
「いや、それがよ」
澪浬の場合はというのだ。
「何かと難しいのよ」
「澪浬の場合は」
「それは無理だっていうのね」
「そうだっていうのね」
「成績が悪いから」
「元々学校の勉強はね」
それこそ澪浬が物心ついたころからだ。
「出来ないから」
「それでなのね」
「そもそも全教科合格したことはない」
「そうだっていうのね」
「そうよ、普段は三教科か四教科だったけれど」
追試の数、それがだ。
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