第二章
[8]前話
その彼がだ、葛葉と一緒に食べながら彼に言ってきた。
「葛葉さんいつもね」
「いつも?何じゃ」
「うん、どんな本でも出してくれるね」
「その時店にない本でもじゃな」
「すぐに出してくれるけれど」
「わらわの力を使えばな」
それでというのだ。
「その本がある場所がわかってじゃ」
「即座に安く仕入れて」
「それで買うことがじゃ」
それがというのだ。
「出来るからのう」
「だからなんだ」
「このことはじゃ」
まさにというのだ。
「わらわにとって何でもないこと」
「そうなんだね」
「わらわに即座に集められる本はない」
「神様の力を使えば」
「今は妖怪じゃ」
そこは笑って言う葛生はだった、今の自分のことは。
「間違えるでないぞ」
「妖怪でもいいんだ」
「妖怪も悪いことではないぞ」
よく神と比べると格落ちと言われるがというのだ。
「それでじゃ」
「そのことはいいんだ」
「うむ、それであらためて言うがのう」
「葛葉さんの力を使えばだね」
「即座に集まられぬ書はない」
「どんな本でもすぐにだね」
「そうじゃ、だからこの店もじゃ」
一見すると中は広いが古臭い感じの昭和の頃にはよく商店街の中にあった感じの古本屋でもというのだ。
「アマ何とかみたいにじゃ」
「ネットのお店だね」
「うむ、ネットのことは苦手じゃが」
ネットだけでなく機械全般が苦手である。
「しかしじゃ」
「そっちみたいにだね」
「書ならばじゃ」
それこそというのだ。
「何でも集めてみせるからのう」
「だからだね」
「店のことは任せよ」
「ううん、しがない古本屋だけれど」
それでもとだ、店主はまた言った。
「葛葉さんのお陰でだよ」
「やっていけてるとか」
「思えるよ、じゃあね」
「これからもじゃな」
「お店頑張っていくよ」
「そこでわららに任せるとは言わんな」
「いや、お店は一人でやるものじゃないから」
だからだとだ、店主は葛葉に答えた。
「だからね」
「そう言うか」
「そうだよ、じゃあこれからもね」
「一緒にじゃな」
「お店やっていこうね、あと今日のデザートは」
「何じゃ?」
「御手洗団子だよ」
それだとだ、店主は葛葉に笑顔で答えた。
「それだよ」
「わらわの大好物か」
「それを用意してあるから」
「そうか、ではな」
「晩御飯の後はね」
「茶を煎れてのう」
「それから食べようね」
「ではな」
葛葉は店主に満面の笑みで頷いて答えた、そうしてだった。
二人で楽しく食べた、そのうえで食後の団子も楽しんだ。葛葉は団子を食べつつ明日の店の仕事も頑張ろうと思った。
古本屋にて 完
2018・10・22
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