暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第10話 意外なもの
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がなくはないし……」

「あの……大丈夫だから、大丈夫ですから……顔、近い……」

「え? あ、ごめん」

 フローラの絞り出したような小さな声はきちんとエースの耳に届き、エースとフローラの距離は正常まで離れる。爆発寸前の恥ずかしさは元もレベルまで戻ったが、まだまだ顔は赤い。

「で、どうしたの? ミストに何か用だったの? それとも、終わったあと?」

「えーと、あの、その……」

 またもやしどろもどろになるフローラ。あまりにもハードルが高すぎるだけではなく、そもそもが相手への無理なお願いであるもの。言い出したくとも、なかなか難しいものだ。

 しかし、顔と顔の距離が急接近した先ほどの恥ずかしさが少しハードルを下げたのか、今度はきちんと言葉に出来た。

「あの、夜、私が完全に寝るまで、一緒にいてもらえないかな……?」

「えっ?」

 フローラが告げた内容に、エースから返ってきたのが短い聞き返しの言葉だった。一瞬、何を言われたのか分からなかったくらいにはエースの思考回路は止まっていたようだった。

「私、夜1人で寝られなくて……スプラヴィーンくんに頼んだら、フォンバレンくんに頼めってドア閉められたから……お願いします」

「はぁ……またあいつ何か企んでるんだろうなぁ」

 フローラが最後の一押しとばかりに頭を上げると、エースのそんな声が聞こえてきた。おそらくミストの考えていることをエースは理解しており、それは明らかに避けたいところなのだろう。

 自分のせいで少しでも迷惑がかかることは出来るだけ避けたいところであったが、フローラにとってこれだけはどうにもならないこと。お願いだから助けてください、と心の中で呟いていた。

「1つ聞いとく。だいたいどのくらいで寝れる?」

「いつもは……10分くらいかな?」

「じゃあそのくらいは俺がリビングにいればいいのな。りょーかい」

「うん。その後はもう大丈夫だから。お願いします」

 勇気のいる頼み事がなんとか通り、フローラは安心したのか胸に手を当てて安堵の息を漏らした。

 それと同時に、心の中で平謝りしていた。ただでさえいつもの居住空間に侵入してきているのに、さらに迷惑をかけるような頼み事をしたのだ。おそらく、エースの中でのフローラの評価は下がっただろう。それでも頼まざるを得ないところに、自分のダメなところを感じさせられた。


 そんな気持ちを抱えたまま、フローラがすぐさま布団――これはソレーラ用に常備してある3つ目らしい――に潜り込むと、すぐさま小さなランプが切られた。

 明かりが外からの月光のみになり、リビングには静かな空間が形成される。新聞などは暗くて読めないはずなので、エースがおそらく外の景色を見るなどして時間が
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