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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
68話:誕生日
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も不安になった。そんな私を見かねた陛下が、

「では、最高の後見人を用意しよう。あの者にはまた頼みを聞いてもらうことになるが、頼まずとも配慮はするはずじゃ。ならば初めから頼んでおいても違いはあるまい」

と優し気な表情で言われてから数日、バラ園でのお茶の時間に同席するようにと命じられ、陛下の隣でほのかなバラの香りに包まれながらお茶を嗜んでいると、入り口の方から長身の男性が近づいてくるのが目に入った。

「最高の後見人が来たようじゃ。とは言え、人となりを知らねば不安もあろう?お茶の席に同席させるゆえ、気になる事があれば、そちから尋ねてみると良い」

このバラ園に呼ばれるという事はかなりのお立場の方のはずだけど、私が話しかけても失礼にならないのかしら......。そんな事を気にする私の横で、陛下は近衛兵に人払いを命じられた。

「お呼びとのことで、ザイトリッツ・フォン・リューデリッツ、参上いたしました。ご尊顔を拝し恐悦至極に存じます」

「ザイ坊、人払いを命じてある。この場はお忍びの形で構わぬ。第二の寵姫のアンネローゼじゃ」

「アンネローゼ・フォン・グリューネワルトと申します。同席させて頂きます。よろしくお願いします」

「ザイトリッツ・フォン・リューデリッツと申します。お目にかかれて光栄に存じます。こちらこそよろしくお願いいたします」

挨拶が終わり、伯が席に付くと

「兄貴、皇族にちょっかいを出した連中からはきっちりこちらでけじめを取る事が出来そうだよ。叔父貴も色々と気にしていたからね。それで、今日はどんな話かな?話題の美姫を自慢したいという話でも、私はかまわないけど」

「ザイ坊よ。お主は話が早いから助かるが、お茶を一緒に楽しみたいというのも本日の用件のひとつじゃ。少し我儘につきあってくれぬか」

かなり砕けた言葉でやり取りが交わされるし、陛下がここまで楽し気にされているのも初めてのことで、戸惑う私を気遣って下さったのだろう。

「グリューネワルト伯爵夫人、陛下とは、まだ私がルントシュテット伯爵家の3男坊で色々と好き勝手していた頃からのご縁なのです。当時は陛下の兄君と弟君が派閥を作って跡目争いをされていた時代で、ルントシュテット伯爵家を軸に軍部を陛下の派閥にしようとしていると邪推されても困るので、お忍びで親しくして頂いたという次第で......」

優し気に伯は説明してくれた。リューデリッツ伯は今までで初めて見るタイプの男性だった。軍人の中でも格闘術に優れた方が出す独特な雰囲気もあるし、私たちの父が、事業を成功させていた時に感じた、自然な自信も感じる。でも宮中でお見掛けする高位貴族が出す変な選民意識みたいなものは感じない。強いて言うなら、物語に出てくる悲劇のヒロインに手を差し伸べてくれる情に厚い貴族
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