暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 10
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を持たぬ私が、辛苦を伴う二人の決意を伺ってしまった非礼。心よりお詫び申し上げます」
 「あ、ああ……その辺は謝らんでも良い。自分でも昼間から堂々と寝てるのはどうかと思うし、あんたはアイツの幼馴染だもんな。聖職者じゃなくたって、命がどうのこうのと聴かされちゃあ気になるのは当然だろ? 私にあんたを責める理由は無いよ」
 「……身に余る寛大なお言葉、深く感謝致します」
 片膝立ちの姿勢を保ったまま一礼する器用なプリシラ。
 これ、お嬢様が執る所作とは違うよな。
 どっちかっつーと男、騎士とかの礼法?
 女で聖職者なコイツがやるのは不自然な気がするんだが、不思議と見た目に違和感は無い。一挙一動がきっちり決まってるし、この姿勢に慣れてるんだろうか。
 「ロザリア様のその優しさに甘える形となってしまい大変申し訳なく存じますが、私の願いを一つ、聞き届けてはいただけないでしょうか」
 「願い? あんたが、私に?」
 「はい。ロザリア様のお話を伺い、図々しくも新しい欲を芽吹かせてしまいました」
 この猪の姉ちゃんが、「欲」、ねぇ?
 「……別に良いけど、達成できるかどうかは内容次第だぞ」
 聴くだけ聴いてやると目で促す私に頷き、唇を開いて……


 「      、   、   」


 …………………………。

 「それ、意味を理解した上で言ってる?」
 「覚悟の所在を尋ねていらっしゃるのであれば、答えは此処に」
 プリシラの右手が、真っ白な長衣に隠れた自身の豊かな胸、その内にある心臓を、覆うように指し示す。説得は無意味だ。何があっても覆さないと、力を込めた目線が語る。
 ……あんたは納得するな、つったのになぁ。まぁ、気持ちは分からなくもないけど……なにも、要らん心労を自分から抱え込まなくたって良いだろうに。クロスツェルといいコイツといい、聖職者ってヤツには総じて自虐趣味でも有るのか?
 「本当、見渡す限りバカだらけだ」
 「褒め言葉と受け取らせていただきますわ」
 「前向きなのは良いけど、そいつを叶えるには障害が最低でも四つはあるぞ。一つは私の力でどうとでもなるが、一つはアイツ次第だし、特に重要な二つは、あんた達の認識の問題だ。解決策はあんのか?」
 「ふふふ……私、アルスエルナ教会の次期大司教・プリシラ。欺き・企み・小細工の類いならば、幼少の頃より呼吸同然に(たしな)んでおりますのよ!」
 「ツッコミ待ちなら、もう乗らないからな。疲れるし」
 「そんな!? 非常に、非常に残念ですわ。毛並みを逆立てる仔猫の如きロザリア様は、大変、揶揄(からか)いがい……いえ、愛らしかったですのに……」
 誤魔化す部分が明らかに作為的。
 でも、置かれた(わな)には飛び付きません。
 何故なら、疲れるから。
 「はいはい
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