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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
67話:後見人
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指導された。その後は色々と、姉上がいたころどんな事を家族でしていたか?や、俺と姉上の誕生日と親しい者の誕生日、母上の命日などを確認された。何のためなのか?と疑問に思っていたが、面会の中盤でそれが明らかになった。

「既に隣の屋敷を買い受けたので、グリューネワルト伯爵夫人の別邸として、ミューゼル卿が管理するように。当面の費用は当家で負担いたしますので......」

俺が、屋敷など管理できないし必要もないと言うと、伯爵は驚いた顔をして

「ミューゼル卿は伯爵夫人との面会はお望みではないのか?親族との面会では名目上、宿下がりと言う形になるので、屋敷が必要になるが、久々の休暇に折れてしまった父上も同席では、伯爵夫人もお辛いであろう。さすがに今のミューゼル邸では、形式の面でも伯爵夫人への攻撃材料になりかねぬと判断したのだが......」

そんな儀礼が宮中にあるとは知らなかった。俺はすぐ前言を撤回し、屋敷の手配を頼んだ。心配をかける以上、せめて面会できる機会は逃したくない。諸々の事を話し合った後に、リューデリッツ伯が言うか迷うそぶりをしてから

「ところでミューゼル卿には背中を任せられる友はおられるのかな?もしいるなら、自分の言葉で協力を頼んでみる事だ。軍人として大成するには才能だけでは無理だ。自分の背中を任せられる存在を得られるかで、栄達できるかがかなり変わる。背中を任せられるからこそ上を目指せるし、報いたいと思うから研鑽し続けられるのだ。もし、そんな存在がいるなら、思う所を伝えて、共に道を歩むことを依頼してみる事だ。これはアドバイスだが......」

そのあとも、やけにおいしいお菓子を振る舞われながら、色々な話をした。後で振り返ると、伯爵は俺を一人前として扱ってくれていたのだと思う。お茶とお菓子が尽きてきた頃合いで、伯はお付きの者に人払いを命じて、真剣な面持ちで、締めくくりの話題を始めた。

「ミューゼル卿、今からする話は私の独り言だと思って聞いてくれ。ある下級貴族の話だ。ご当主夫人が事故で急逝され、折を同じくして、ご当主がされていた事業が門閥貴族の横槍で潰された。ご当主は2重のショックで心が折れてしまい、昼間から酒を飲むようになった。残されたのは思春期に入ったばかりのご令嬢と幼い嫡男のみ。このままでは経済的に立ち行かなくなると年長だったご令嬢は弟の学資の為にと働き口を探したが、門閥貴族に目を付けられた家の令嬢など貴族社会では雇ってもらえず、専門的な知識がある訳でもないので、表社会での就職も出来なかった。
結局、年齢を偽り、夜の歓楽街で働きだすのだが、世間知らずの貴族の娘などカモでしか無かった。詐欺に引っかかって、多額の借金を背負わされ、身を売らされるようになるまで1年、その辛さから逃げるように薬物を使うようになるのにさらに1年、
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