第一章
[2]次話
出来の悪い弟
七生綾人は今は双子の兄と別々に暮らしている、抜群に頭のいい兄が高校卒業後イギリスの名門大学に進学したからだ。
しかし彼はどうかというと。
「俺はこうしてだよ」
「半分お情けで、だよな」
「ああ、通っている高校が付属だったからな」
ある大学のとだ、彼は友達にその大学の喫茶店で話した。
「それでだよ」
「推薦で進学してな」
「ここにいるんだよ」
「兄貴と違ってか」
「兄貴は今はイギリスにいてな」
この国にというのだ。
「それでだよ」
「向こうでも評判のか」
「秀才だってな、けれどだよ」
「御前はか」
「この通りさ、出来が悪くてな」
ホットコーヒーを飲みながらうんざりとした顔で述べた。
「それでだよ」
「お情けの推薦でか」
「進学したさ、多分将来もな」
「兄貴と違ってか」
「大したことのないな」
「将来になるってか」
「今バイトしてるからな」
スーパーのレジ打ちだ、仕事振り自体は評判がいい。
「多分そこにな」
「そのまま就職してか」
「暮らしていくだろうな」
「それならそれでいいだろ」
「ああ、しかしな」
「しかし?」
「俺は結局一生出来が悪いままでな」
そう言われてというのだ。
「暮らしていくだろうな」
「それが嫌か」
「いや、親も周りも特に言わないからな」
出来のいい兄と比べてとかくというのだ。
「だからな」
「いいのか」
「もう達観か?」
「わかってるからか」
「ああ」
それでと言うのだった。
「いいんだよ」
「そうなんだな」
「そりゃ俺だってな」
それこそとだ、綾人は友人に眉を顰めさせて話した。
「何でも出来て性格だってな」
「ヘタレじゃなくてか」
「しっかりしたいさ、けれどな」
それはというのだ。
「結局何してもな」
「出来ないってんだな」
「努力してるさ」
言葉は現在形だった。
「俺なりにな、けれどな」
「お兄さんと比べるとか」
「この通りだよ、本当にな」
また言うのだった。
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