第五章
第48話 無限の世界
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ベッドで仰向けになり、目を瞑って腕で顔を覆う。
このまま昼寝といきたい。
「はあ……どうしよう。この件、逃げたい」
俺がそう愚痴ると、ベッドに一人上がってきたとおぼしき揺れが伝わってきた。
もちろん誰かはすぐわかる。
「何言ってんのさ。仕事はこれからでしょ」
金髪少年カイルが、すぐ横にくっついてきながら軽くたしなめてくる。
彼は俺がベッドで寝ていると、上に乗っかってくるか横にくっついてくるかどちらかである。
どちらも嫌なのだが、毎度の話なので抗議するのも面倒になってきている。
「ふーん。少し汗かいてるね」
「コラ。シャツの中に手を入れるなって。前も言っただろ」
注意はするのだが、どうも響いている様子がない。
まだ子供とはいえ、足を絡めてきたり顔を擦り付けてきたり手で直接触ってきたりはさすがにヤバい。そのようなことはやめるようにと以前から言っており、合意も得ている……はずなのだが。どうも約束があまり守られていない。
元戦闘員の「仲いいですね」というテンプレート化したセリフが聞こえてくる。ちょっとは不自然だと思わないのだろうか。
「自信ないんだね? 今回」
「まあな。もうキャパオーバー」
「何か心配なこととか、わからないことがあるの?」
「何がわからないのかわからないくらい混乱というか」
「だいぶ参ってるみたいだね」
「見てのとおりだ。どうしようかなあ……」
今は、打ち合わせを終えて部屋に戻ってきて、カイルやクロにその内容を説明し終わったところだった。
地下都市関係者二名の捕縛に成功したのは、もちろん喜ばしいことではあった。
しかし、大変なのはここからだ。その二名を通して、地下都市側との交渉の場を作らなければならない。
茶屋での作戦成功で浮かれている場合ではなかった。
先ほどの打ち合わせでは、例によって鶴の一声ならぬ神の一声により、二名の説得は俺がチャレンジするということになった。
「あの神さま結構タチ悪いんだよな。何が『リクにすべて任せればよい』だよ……また丸投げかよ」
「でも、今回も兄ちゃんがやるしかないんじゃないの? 他の人だと無理でしょ」
「仮にそうであっても、当の俺が不安なんだっつーの」
「不安かあ」
「ああ。どう話をしたらいいかさっぱりわからん。説得に失敗して全部パーという未来しか想像できない」
「オレが手伝ってもダメかな?」
「うーん、今回はお前のノリは逆効果だろうな。コテコテに洗脳済みの大人二人だぞ」
前回のタケルのときのようにはいかないはずだ――と思う。
あのときは、初めて話す者同士ではなかったし、彼は既に『組織』に対して疑問を抱いている状態で、洗脳も薄れていた。
今回はまったく状況が違う。正直
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