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緑の楽園
第五章
第48話 無限の世界
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「タケルよ、気にするでないぞ。私ヤマモトこそ気分を害する提案をして申し訳なかったと思っている」

 ヤマモトは立ったままタケルのほうを向いて頭を下げた。
 下げられたほうのタケルは「いえいえ」と、恐縮気味に手枷のままの両手を振った。

「なんか難しいなあ。あなたが珍しく積極的に意見を出したのは、そういうことだったんですね」
「そうである。ああいう役はヤハラの仕事だったのであるがな」

 タケルがヤハラという名前に反応したのがわかった。
 ヤマモトの目が少しだけ遠くなり、宙のほうを向く。

「ヤハラはスパイだったわけであるが、参謀としては非常に優秀な人物であった。だがもう彼はいない。よって私ヤマモトがその穴埋めをすべく、一層努力せねばならないのだ」

 そう言うと、ヤマモトは視線を俺のほうに戻し、羽毛扇の先を向けた。

「お前も一流の参謀になりたいのであれば、私を見習って、日々努力を怠ってはならぬぞ」

 なぜ俺が一流の参謀を目指すことになっているのだろう。
 ……という突っ込みはまあいいとして。
 とりあえず、単に嫌味を言うために来たわけではないというのは理解できた。

「さて、話を戻すが」
「はい」
「私ヤマモトがここに来たのは、お前に対し助言することを陛下に申し出て、許可を頂けたからだ」
「わざわざ陛下に宣言してから来たんですか? 正直、今回はうまくいく自信ないですよ? 俺が失敗した時にあなたも連帯責任になってしまいそうですけど」
「わかっておらぬな。それが目的なのだ」

 ヤマモトはふたたび羽毛扇の先をビシッと俺のほうに向けて、そう言った。
 この男の話し方は回りくどいので非常にわかりづらいのだが、どうやら俺を助けようとしてくれているらしい。

「……見かけによらず親切なんですね」
「見かけによらずとは失礼である。この格好はわが父の故郷、西の国に伝わる伝説の賢人にあやかったものである」

 見かけといっても、俺は別に服装のことを言ったわけではない。
 しかし、ピントがずれた彼の回答のおかげで、ヤマモトの父親が西の国出身だということ、そして服装はやはりコスプレだったということがわかった。
 漫画の三国志を通してですが、俺はその賢人を知っていますよ、と心の中で答えておいた。

「自分で考えても自信が持てないときは、人に相談するのも立派な問題解決である。お前にその気があるのであれば、この私ヤマモトが大変有益な助言をしてやらぬこともない」
「そうですね。では是非アドバイスを頂けると嬉しいです」
「よし、よくぞ申した」

 ハイハイ前置きが長いです、とっとと始めてください――とは言わなかった。
 俺はいまだ仕事の仕方というのはよくわかっていない。
 この人もまだ三十代だと
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