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レーヴァティン
第七十五話 霧の都その十四

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「それはな」
「そう、闘技場は接近戦主体でしょ」
「剣闘士同士とかモンスターとな」
「そこで魔術師はどう闘えばいいか」
「それを考えてか」
「ああした戦術になったのよ」
「成程な」
 久志もここまで聞いて納得した。
「術だけでもか」
「ああして闘えるってことよ」
「そうか。しかしあんた何でな」
「そもそも闘技場で闘ってきたか」
「暇潰しだけじゃないよな」
「ええ、さっきもそんなこと言ったけれど」
「報酬が多いからか」
 だからとだ、久志も気付いた。
「だからか」
「そうよ、普通に闘うより実入りもずっといいから」
 それでというのだ。
「だからね」
「闘技場にいたんだな」
「そうよ、いい稼ぎになるから」
 それでというのだ。
「闘技場にいたのよ」
「そういうことか」
「ええ、お金があればいいお屋敷も買えるしいい本も集められるし」
「美味いものも食えるか」
「こっちの世界のロンドンはましだから」
 双葉は久志に笑って返した。
「お料理の味はね」
「ましか」
「ええ、私達の世界のロンドンよりずっとね」
「ロンドンはイギリスの首都でな」
 このことから話す久志だった。
「食いものは残念ながらな」
「まずいわよね」
「とんでもなくな、けれどか」
「イギリス料理が美味しいお店があるから」
 それでとだ、双葉は久志だけでなく仲間達に明るく話した。
「案内するわね」
「じゃあ出発の用意を整えてか」
「あんたの闘いも終わってね」
 久志の闘技場でのそれがというのだ。
「そうしてからね」
「よし、じゃあ出発前にな」
「案内するわね」
「それじゃあな」
 久志は双葉に笑顔で応えた、そうして全員揃った一行は双葉の出発の準備が整うのを待った。久志はその間に闘技場で一戦交えた。


第七十五話   完


                 2018・7・24
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