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レーヴァティン
第七十五話 霧の都その十

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「私がここを出る時が」
「ずっとここにいいたんだな」
「ええ、闘技場で闘ってね」
「相当強いって評判になってたぜ」
「知ってるわ」
 魔術師は久志に微笑んで答えた。
「その話も」
「耳に入っていたんだな」
「そうよ、それでね」
 魔術師は久志達にさらに話した。
「ここで闘って己を鍛えると共に」
「金も稼いでいたんだな」
「ここは下手にモンスターと闘うより儲かるから」
 それでというのだ。
「ここにいたのよ」
「そうだったんだな」
「お金があるとね」
「それだけでか」
「幸せだから」
「その通りや」
 魔術師の金への考えについてだ、美奈代がその通りだと答えた。
「あんたわかってるやん」
「ええ、お金はね」
「まさにやろ」
「あると命があって」
「ないとな」
「命がないことと同じよ」
「その通りや、ほんまにな」
 まさにと言う魔術師だった。
「人間儲けて何ぼや」
「同感よ、完全に」
「そうやな、それでうち等があんたの前に来た理由はな」
「さっき言ったわね」
「ここでおる時も終わりやってか」
「何時か来ると思っていたわ」
 こう言うのだった。
「絶対にね」
「もうわかってたんやな」
「この世界に来てから自分自身のことがわかってからね」
 自分が外の世界から来た者だということ、そして伝説を聞いてだ。
「そうしてからね」
「うち等が来るのを待ってたか」
「それで闘技場にいたけれど」
 それでもとだ、魔術師は美奈代に話した。
「私が最後みたいね、数を見ると」
「そや、あんたがほんまにな」
「最後の一人ね」
「そうなったわ」
 まさにというのだ。
「実際にな」
「そうなるとは思っていなかったわ」
「そうやねんな」
「けれどそれでもいいわ」
 自分が最後でもとだ、魔術師は美奈代に返した。
「考えてみればそれも有り得ることだし」
「自分が最後の一人になってもか」
「ええ、それもね」
「順番に仲間にしていくとな」
「どうしても最後の一人が出て」
「それが自分になることもな」
「あるから」
 それでというのだ。
「納得しているわ」
「そやねんな」
「ええ、じゃあ闘技場に出るお金支払って」
 それでとだ、魔術師はまた言った。
「その手続きをしてね」
「それからか」
「あんた達の仲間になるわ」
 魔術師は久志達にこのことを約束した。
「無事にね」
「出るにも金が必要ってのは聞いたさ」
「契約満了までに出る場合はね」
「ああ、違約金としてか」
「支払わないといけないのよ」
「そこはしっかりしてるんだな」
「ここの闘技場は特にそうなのよ」
 魔術師は久志に淡々とした口調で話した。
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