第七十五話 霧の都その八
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「ですから武器もです」
「気休め程度の杖とか短刀とかな」
「そうしたものです」
武器からして格闘向けではないのだ。
「ですから一人の腕の立たない者を退けられても」
「中級以上のモンスターと戦うのはな」
「それが人間でも同じです」
それなりの腕を持つ者に対してはというのだ。
「同じです、幾ら歴戦の魔術師でも」
「魔術師は魔術師だからな」
「格闘向きではなく」
「身のこなしもな」
「俊敏には動けないものです、しかし」
「あいつは違うな」
「はい、まさに最初からでした」
ベヒーモスの一撃もというのだ、今も七体で宙から巨獣に対して術を弾幕の様に激しく放っている。錬金術の毒霧等も出してそれでもだあめーじを与えている。
「素早い、見事な動きでしたし」
「今もな」
「ああした闘い方は」
「魔術師じゃないな」
「頭脳的な格闘家のものです」
「分身をして宙にいてな」
そしてとだ、久志も述べた。
「上から絨毯爆撃みたいに攻撃するとかな」
「魔術師の戦術ではありません」
この職業の者が考える様なというのだ。
「とても、あれは弓兵のものですし」
「やっぱり魔術師じゃないな」
「何か独特の」
「魔術師とは思えないな」
「そうした闘い方です」
「では何者やねん」
美奈代はそこに問題点を見た。
「一体」
「それは後でな」
「今の勝負の後でやな」
「本人と話して見定めるか」
「そうなるか」
「少なくとも普通の魔術師じゃないな」
久志はこれまで観てそして仲間達との話からもこのことを断言した。
「本当に」
「そやね、それはうちにもわかるわ」
「どうやったら魔術師があんな闘い方が出来る様になるんだ」
「そもそも何で闘技場におるか」
「色々知りたいな」
「ほんまにそやな」
二人でこうした話もしつつだ、そうしてだった。
一行は魔術師と巨獣の闘いを見守った、巨獣は魔術師の激しい攻撃を受けて遂に倒れた。ここで魔術師の勝利が伝えられた。
観客席から歓声が起こった、ここでまた先程の身なりのいい男が言った。
「これがである」
「あいつの闘い方か」
「そうである、魔術師でありながら」
「ああしてか」
「常にである」
「強いモンスターを一人で倒してるんだな」
「それが人でも同じである」
モンスターでなくとも、というのだ。
「この前はこの闘技場で一番ランクが植えの剣闘士を倒したである」
「一番のか」
「激しい攻防の末に」
「剣闘士も倒したんだな」
「そうしたである、その時は接近戦だったである」
「魔術師が接近戦か」
「そうである」
男は久志にこのことも話した。
「敵の攻撃をかわしつつ至近で術を当てていき」
「それはな」
「魔術師ではないであるか」
「そのこと
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