28部分:第二話 貴き殿堂よその六
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「我等のドイツが」
「ドイツはただ国力だけで成り立つものではないのだ」
彼の言うドイツはプロイセンを中心としたドイツである。それは今から生まれようとしていた。だがそれは国力だけで成り立つものではないというのだ。
では何によって成り立つものなのか。彼はそれについても話した。
「芸術によってもだ」
「それによってもですね」
「成り立つものなのだ」
「音楽もまた、ですか」
「そうだ」
執事の言葉にその通りだと頷いてもみせる。
「それがわかるな」
「はい、僅かですが」
彼も伊達にビスマルクに仕えているわけではない。それでわからなければ長きに渡って彼の傍にいることなぞできはしないのだ。
それでだ。彼は答えることができたのである。
「ベートーベンやシューベルト」
「ウェーバーもだ」
「あの音楽家が夭折したのは惜しいですね」
「そうだな。しかしだ」
「もう一人の音楽家がいますが」
「ワーグナー」
ビスマルクもまた彼を知っていた。
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