第7ヶ条
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れじゃ、お化け屋敷に向かってレッツゴーだよ」
美森もテンションが上がっているのか、学校で話す時より2段階ほど陽気な気がする。
「よし、行くぞー」
俺も美森に合わせて拳を天にあげた。
電車とバスを乗り継いで、辿り着いたのはそびえ立つ天守閣の前だった。お城とはいっても復元されたもので、エレベーターから冷暖房まで完備したある種、最新式のお城である。
「おおお、お城なんて小さいときに来た以来だけど、なんかワクワクするな」
キラキラしているであろう俺の目を見て美森が笑った。
「何か、ヒナオ君、子どもみたいで面白いね」
「やっぱり俺も男の端くれだからね。お城見てるとロマンが湧きたってくるのさ」
なんてダンディを勘違いした格好のつけ方をした俺を見て、美森はまた笑う。
「ふふ。あっ、あれだよ。お化け屋敷。まだ朝早いからあまり人も並んでないね」
お化け屋敷はこの天守閣の中に作られているようだ。
『よしっ』と俺は心の中で少し気合を入れた。
俺の(勝手な)イメージでは女の子はお化け、幽霊に弱いはずだ。そこを俺がダンディに守ってあげれば2人の仲はさらに深まり、初デートは大成功。あわよくば美森と初めて手を繋ぐイベントだって発生するかも…という邪な発想は数分後にあっけなく崩れ去ることとなった。
「…なんだこれ、すごく雰囲気あって怖すぎるだろ」
受付のお姉さんに『気を付けていってらっしゃいね』と笑顔で送り出されて数秒後、おそるおそる進む薄暗い通路で俺は震えていた。
「結構、怖い感じだね、美森。」
俺は虚しいかな、こんなにも恐怖に襲われている最中でも怖くないですよ、という口調で後ろを振り返った。
あれ?普段、俺の後ろを歩いているはずの美森がいないぞ。もしかしてはぐれたか?と焦って前を向くと、黒い影が目の前で揺れた。
「ひゃああっ。」
思わず情けない声が出た。
よく見ると美森の麦わら帽子の影だった。いつの間に美森は前に来たんだ。
「よく作り込まれてて、ワクワクするね。ヒナオ君」
薄暗い中でもわかるくらいキラキラと凛々しい目を輝かせ、美森はグイグイと前を進んでいった。
「え?あ、ちょっと待って美森。って、ひゃああああ」
城内に高らかな叫び声を幾度となく響きわたらせ、最後に飛び出してきた白装束の幽霊に驚いてこけた俺はライフポイントを限りなく0近くまで削り、お化け屋敷を後にしたのだった。
「…………」
疲労感と恥ずかしさと情けなさを感じながらベンチに座り込んだ俺の横で、また美森も顔を赤くしていた。
「ヒナオ君、やってしまったよ私」
「…?」
「私、怖いものすごく好きでテンションが上がってし
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