第七話 破壊衝動なんて無い!
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「イゼルローンから戻って来たんだ」
エッティンガーも興奮している。こいつも鼻息が荒い。
「多分、御礼を言いに来たんじゃないかな。校長閣下のレポートでイゼルローン要塞は守られたんだから」
僕が言うと二人が頷いた。
「凄いや、上級大将が御礼に来るなんて」
エッティンガーの言う通りだ、本当に凄い。ゼークト上級大将とシュトックハウゼン上級大将は軍事参議官になったけどいずれは帝国軍三長官になるんじゃないかと言われている。そんな二人が校長閣下に会いに来るなんて……。
帝国暦487年 8月 25日 オーディン 士官学校 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
「驚かしてしまったかな?」
ゼークトが笑うとシュトックハウゼンも笑った。
「はい、驚いております」
二人の笑い声が更に大きくなった。上機嫌だ、まあ二人とも上級大将に昇進したし将来の帝国軍三長官候補者とも言われている。前途洋洋、未来は明るい。上機嫌になるのも分かるよ。
本来上位者が下位者を訪ねる等という事は無い。礼が言いたいならTV電話で終わりだ。この二人がわざわざ此処に来たという事は同盟軍のイゼルローン要塞攻略作戦は俺の警告が無ければ成功したと思っているのだろう。命拾いをしたと思っているのだ。
「それにしても卿が士官学校校長とは妙な人事では有るな」
「イゼルローン要塞でも随分と噂になっている。大将に昇進して宇宙艦隊副司令長官へという話も有ったと聞いたが」
二人が心配そうな顔をしている。俺が士官学校の校長というのが納得出来ないらしい。
「軍規を犯しました。宇宙艦隊副司令長官にはなれません。辞退致しました」
「しかし、あれは勝つ為であろう。卿に私心が無かった事は皆が知っている」
「ゼークト閣下、それを許せば勝つためには何をしても良いという事になってしまいます。皆が勝つために軍規を無視するでしょう。そうなればもはや軍では有りません」
ゼークトが唸り声を上げた。シュトックハウゼンは沈痛な表情だ。
「小官に不満は有りません。元々身体が弱いので実戦部隊への配属は避けたかったのです」
「そうは言うが……、私もゼークトも卿の力量は十分に知っている。第六次イゼルローン要塞攻防戦は卿の采配で勝った。それに今回の第七次攻防戦もだ。その卿が士官学校の校長……。軍務尚書とは繋がりが有る様だが……」
シュトックハウゼンが俺をじっと見た。ちょっと照れるな。そう言えば第六次イゼルローン要塞攻防戦もこの二人が要塞司令官と駐留艦隊司令官だったか。結構因縁が深いな。
「我らは今軍事参議官の地位にあるがいずれは軍中央に於いて職務を司る事になると思う。その時は卿の協力を得たいと思っているのだ」
「勿論その時は私とゼークトで卿の争奪戦が始まるが」
二人が顔を見合わせて笑
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