第七話 破壊衝動なんて無い!
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令長官が頷くのが見えた。
「まあ本人には野心が無い。それが救いでは有るな」
始末が悪いという事も有る。だが指摘するのは止めた。進んで不興を買う事は無い。
「これからも何か有れば報せて欲しい」
「分かりました」
「ところでこちらから頼みが有る」
はて、一体何を……。軍事費を削れと言う事だろうか?
「カストロプ公を始末する。反乱を起こさせカストロプ公爵家を断絶に追い込むつもりだ」
なるほど、評判の悪い男を始末するという事か。財務尚書の地位を利用して随分溜め込んでいるとも聞く。潰せば旨味が多いだろう。
「カストロプ公の始末は内務省が行う。内務省からは今月中に実行すると連絡が有った。だがその後で起きる反乱の鎮圧は軍の仕事になる。反乱討伐の指揮官を選んで欲しい」
「分かりました」
我らに選べという事は宇宙艦隊以外から選べという事か。ローエングラム伯に武勲を上げさせるなという事だな。
「何時頃になりましょう?」
問い掛けると国務尚書が少し考えるそぶりを見せた。
「そうだな、反乱に追い込むまで三月と言ったところか。」
となると十二月の頭には反乱が起きるか。
「年内には片付けて欲しい」
統帥本部総長、司令長官に視線を向けた。二人が頷く。
「承知しました」
難しい事では無い。オーディンからカストロプまでは三日で着くのだ。一月有れば十分に可能だ。
帝国暦487年 8月 25日 オーディン 士官学校 ミヒャエル・ニヒェルマン
「あれ、誰か来たよ」
図書館の窓から外を見ていたハルトマンが声を上げた。士官学校は夏休みだよ、一体誰が……。エッティンガーと共に外を見る。確かに人がいる、軍人が二人だ。地上車が有るからそれで来たのだろう。
「ねえ、かなりの高級士官だと思うけど」
エッティンガーが自信なさそうに言う。ウーン、結構年配の人みたいだ。
「遠くて良く分からないけど将官だよね。胸の飾りが結構複雑だから大将かな?」
僕の言葉に二人が頷いた。
「校長閣下に会いに来たのかな?」
「多分そうだと思うよ」
「ちょっと見に行こうか?」
僕が誘うとハルトマンとエッティンガーが賛成した。校長閣下に会いに来るなんて誰なんだろう?
三人で玄関口に向かう。僕達が着いた時、丁度お客さん二人が入って来るところだった。慌てて陰に隠れた。
「士官学校は久しぶりだな、ゼークト」
「ああ、懐かしいな、卿は如何だ?」
「夏休みは良くシミュレーションで時間を潰した事を思い出したよ」
「私もだよ、シュトックハウゼン」
二人が声を合わせて笑った。
「おい、ゼークト上級大将とシュトックハウゼン上級大将だよ」
ハルトマンが小声で教えてくれた。でも興奮している、鼻息が荒い。音が遠くまで聞こえそうだ。
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