第七話 破壊衝動なんて無い!
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、周囲にどんな影響を与えるか……。絶望のあまり自殺する者が出かねん」
二人が“なるほど”、“かもしれん”と言った。
「士官候補生には馬鹿な事は言うまい。士官学校の校長はあの男の為のポストだ。周囲から隔離しなければならん。被害者は我々だけで十分だろう」
二人がげんなりした様な表情を見せた。そんな顔をするな。地位が上がれば責任も大きくなる。あれを制御するのは我々の責務だ。
「軍務尚書、国務尚書には御見せなくても良いのかな?」
統帥本部総長、卿は仲間が欲しいらしいな。
「いや、当然御見せする。この作戦案は国家機密だ。国政の責任者である閣下には知って貰う必要が有る」
二人が頷いた。妙に嬉しそうだ。
「これから国務尚書に面会を申し込む。卿らも同道して欲しい」
二人が渋々頷いた。私に押し付けるな! あれの飼い主は我ら三人であろう!
国務尚書リヒテンラーデ侯と会ったのは何時もの部屋だった。新無憂宮南苑にある黴臭く薄暗い陰鬱な部屋、何故この部屋を指定するのだろう。気が滅入る一方ではないか。
「何用か、と問うのも愚かだな。卿ら三人が揃って面会を求めるという事はあれか?」
好意の欠片も無い口調で国務尚書が問い掛けてきた。なんと答えよう。両脇に控える統帥本部総長と司令長官を見たが二人は正面を向いて無表情なままだ。不本意だ! 何故私は軍務尚書なのだろう。
「あれと言うのがヴァレンシュタインのレポートを差しているならあれです」
「なるほど、あれか」
今後は『あれ』というのがレポートの代名詞になるな。
「それで、今度は何を書いたのだ?」
「これを御覧ください」
レポートを差し出すと国務尚書が顔を顰めながら受け取った。私が書いたんじゃない、私が書いたんじゃない……。
パラパラと紙を捲る音がする。溜息を吐く音がした。
「国政の改革を行おうとしているのに……」
「……」
また溜息を吐く音がした。今度はこめかみを揉んでいる。
「捕虜交換も順調に進んでいる。間接税の税率の軽減も評判が良い。帰還祝いでかなり消費が増えてむしろ増収になると見通しも出ている。それなのに……、何故ここで……」
溜息、三度目だ。私が書いたんじゃない……。その溜息は私に対する物じゃない。国務尚書がレポートをこちらへ突き出した。要りません、差し上げますと言えたら……。溜息を堪えてレポートを受け取った。
「それは表に出してはならんぞ」
「分かっております」
「それと、あれの動向は押さえているのだろうな?」
「情報部と憲兵隊が監視兼護衛として付いております」
国務尚書が“うむ”と頷いた。
「ローエングラム伯などよりあれの方が扱いが難しいわ。役に立つのだが扱いを間違えるととんでもない事になりかねん」
「同意致します」
私が答えると統帥本部総長と司
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