第七話 破壊衝動なんて無い!
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「あー、軍務尚書。あれは何かな、要塞をぶつけろとか氷をぶつけろとか破壊衝動の様なものが強いのかな? だとすれば危険だが」
「分からんな、統帥本部総長。人騒がせな男ではあると思うが……」
私が答えると二人とも頷いた。全く人騒がせな男だ。
「アルテミスの首飾りの攻略法か。帝国は守勢をとるのだが……」
「表には出せぬな。こんなのを出したら反乱軍を叩きのめせと騒ぎ出す者が出るだろう」
二人が話している。同感だ、馬鹿で無責任な貴族達が騒ぐだろう。軍の中にも同調する者が出るに違いない。その先頭はローエングラム伯だろうな。帝国が守勢をとる事に強い不満を示している。
「ヴァレンシュタインはこれについて何と?」
司令長官が訊ねて来た。思い出したくもない……。
「自信作だそうだ」
「自信作?」
二人の声が重なった。顔を見合わせている。
「ああ、胸を張って言っていたな。敵味方に人的損害は無し、視覚的効果による心理衝撃は極めて大、敵は戦意を喪失する、簡単に降伏するだろうと。それに費用も掛からんし簡単だ。安くて簡単で手間要らず、自信作ですと」
溜息を吐いた。二人も溜息を吐いている。何で帝国軍三長官が雁首揃えて溜息を吐かねばならんのか……。
「確かに、要塞に要塞をぶつけろというよりはまともだが……」
司令長官の言葉に統帥本部総長が息を吐いた。
「司令長官、まともかな? この書類を叛徒共に見せたらどうなると思う?」
今度は司令長官が息を吐いた。
「連中、発狂するだろうな」
「その通りだ。難攻不落と豪語するアルテミスの首飾りが簡単に無力化出来るのだからな。この作戦を考えた者を八つ裂きにしたがるだろう。むしろ要塞に要塞をぶつけろという方がまともだろう。キチガイ沙汰だと言って否定する事が出来る」
げんなりした。何故司令長官と統帥本部総長が叛徒共の事を心配しなければならんのだ? 何処かおかしくなっている。
「イゼルローン要塞、アルテミスの首飾り、難攻不落では無かったのか? 何故あれは簡単に攻略法を考えつくのだ? それとも考えつかぬ我々が馬鹿で間抜けなだけか?」
統帥本部総長が真顔で訊ねて来た。司令長官も頷いている。答えるのは私か。あれが悪魔だからと言うのは如何だろう? 納得するかもしれんな。
「考え付いたのはヴァレンシュタインだけだ。あの男が特別なのだろう。要するにあの男は異常なのだ」
そう、あの男は悪魔では無いが異常であり我々は正常なのだ。そう思わなければ精神を保てぬ。
「士官学校の校長で良いのかな? 統帥本部か宇宙艦隊に移動させた方が良いのではないか? 勿論オーディンに常駐させねばならんが」
司令長官が小首を傾げながら問い掛けてきた。
「士官学校の校長で良いのだ。あんなのを統帥本部や宇宙艦隊に移動させてみよ
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