暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第9話 唐突過ぎた始まり
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「じゃあ、お言葉に甘えて……」

 そのダイニングに入った瞬間、真ん中から少しキッチン寄りに配置されているテーブルが目に入る。そこに収められている椅子の内、入り口と向かい合わせになるものをエースが言葉と共に指差すと、フローラはおずおずとした様子で座った。

 一方のエースは、座らずに左に曲がってキッチンに向かう。

「色々と話がしたいとこだけども、その前に、と。何か飲むものあれば、あるものに限り何でも出すよ」

「そ、そんなに気を使わなくてもいいよ」

「まぁそういうなって。一応、お客様なわけだしさ」

「えーと、じゃあ……紅茶、あったら貰えるかな?」

「りょーかい」

 注文を受けたエースは、台所においてあったティーカップとソーサーを2つ手に取った。側にあったティーポットからカップへ紅茶を丁寧に注ぎ、片手に1つずつ持ってリビングに戻ると、左手に持っていた方をフローラの眼前に差し出す。

「どうぞ」

「どうも」

 エースが向かい合わせになる位置に移動している間に、ティーカップに口をつけるフローラ。仄かな甘い香りは、口の中にも広がった。

「美味しい……」

「だろ? 俺の最近のお気に入り」

「フォンバレンくん、紅茶入れるの上手なんだね」

「俺が好きなのもあるけど、母さんが昔よく入れてるのを見てたから、そのおかげかな。お菓子に合わせて茶葉の細かい配分とか変えたりもするから、ちょっとした趣味かもしれない」

「なんか、凄く意外……」

「誰にも言ってないしな。知ってるのはミストとソレーラさん、校長くらいだし」

 ティーカップをもう一度口につけ、中身を飲み干すエース。彼の意外な特技を知ったフローラも、同じようにティーカップの縁に口をつけて紅茶を飲む。その頬はやや赤いが、紅茶は決して温かくはない。

「で、話を変える、というか戻すけど……何から聞きたい?」

「あ、えーと……」

 エースが急に投げかけた質問に対して、フローラは数秒間は悩んだ様子のままそこから変わることはなかった。見た限り、聞きたいことがないのではなく、むしろがありすぎて優先順位がつけられないように見える。

 その様子に対して、エースは椅子の背もたれに身体を預けてこう言った。

「まぁそうだよな。入学してすぐくらいからの付き合いなのに、隠してることいっぱいあるしな。ごめん」

「ううん。別にいいよ。隠さなきゃいけないってことは、私たちにも分かることだから」

「そう言ってもらえると助かる。こっちも色々とあるから」

 一度背もたれから身体を起こして、言葉の後にエースは頭を下げた。それは完全に謝罪の意を示すためであるが、その内容は秘密にしていたことも含まれて入るが、一番は余計な気を遣
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