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緑の楽園
第五章
第47話 茶屋と仔犬
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 城下町は、いつも活気にあふれている。

 通りには、常にたくさんの通行人が、各々の目的地へ向かうために歩いている。
 いかにも首都の人間という馴染んだ雰囲気の者もいれば、キョロキョロとした地方から出てきたと思しき旅人もいる。
 ときには、馬車や人力車が、警笛のような音を鳴らしていた。

 通りの両脇に連なっている店の店頭では、いつも笑顔の商売人が立っており、通行人へ声掛けしている。
 店はコテコテの和風店舗もあれば、やや洋風にも見える店舗もあったりする。
 俺から見れば統一感がないと感じるその景色も、この時代の人には当たり前のものなのだろう。

 今日も、目に入る景色はいつもの城下町、のはずであるが――。

「やばい、ドキドキしてきた……」

 緊張からか、色彩が全体的に重いように感じていた。

「オオモリ殿、さっきから動きが不審すぎです。もう少し普通にしていただかないと怪しまれます」
「いやあ、そりゃわかってるんですけどねえ」

 現在、一般人に扮した城の兵士五人と、ヒゲと帽子で変装した俺とタケル、計七人で歩いている。
 クロは少し距離をとっている人力車の中にいる。何かあったらすぐに飛び出してこられる態勢だ。もちろん、車をひいているのは車夫に見せかけた兵士である。

 目指す先は、城下町における『組織』の隠れ連絡事務所。
 前に訪問した、地図屋「ヤマガタ屋」の近くにある茶屋である。

 突入する予定なのは、茶屋に顔を覚えられていないことが確実な兵士五人のみ。
 タケルは変装したまま外で待機。捕らえた人間が地下都市関係者であることを、その場で確認する予定だ。
 俺はタケルの保護者という立場で同行している。
 なので、やはり中には入らず外で待機することになるわけだが、緊張するなと言われても無理がある。栄養ドリンクを飲んだ後のように心臓が強く拍動していた。



 神降臨パーティの日から、今日で四日目になる。

 タケルが捕縛されたことについては、二日ほどきつく緘口令が敷かれていた。
 そして打ち合わせの結果、昨日に正式な発表をおこなっている。

 内容は、「神降臨パーティに暗殺者が侵入。捕縛して二日間拷問するも口を割らず、看守の隙をつき自害」というものになった。
 例によって新聞が刷られているので、すでに首都内には広まっているだろうと思われる。
 もちろんタケルは自害などしていないので、発表した情報は正確なものではない。打ち合わせで決めた偽情報である。

 この偽情報、参謀ヤマモトのアイディアである。
 タケルが帰順し情報提供していること――それを秘密にするべきというのは、首脳陣一同、意見が一致していた。
 しかし、だからといって、暗殺未遂事件があったのに何も情報を出さない
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