65話:除霊と封印
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ろう」
幼年学校からの同期である、ディートハルト、コルネリアス、アウグストがそれぞれの思う所を述べる。我々4名の任官先は前線総司令部、基地司令官付きとなったが、基地司令であるリューデリッツ伯は基地司令でありながら軍全体を支援するような立場になっている。
地球への派兵に伴い、その衛星である月に構築された仮設基地を小規模とは言え恒久的なものに改修する事と、地球から今や帝国では反社会的勢力とみなされている地球教徒が脱出する事を防ぐために、パトロール部隊の哨戒計画と防衛衛星の設置を任務として言い渡されることになった。
地球教徒が国事犯と目されている以上、決して疎かにして良い任務ではないし、シェーンコップ卿をみれば、前線総司令部、基地司令付きは出世コースでもある。当初は、父と同じ任地になるのはいささか気恥ずかしい思いもあったが、その父がアイゼンヘルツ星域に新設される3個艦隊規模の建設責任者として転出して以降は、煩わしい事もなく、前向きに任務に取り組めている。
「父も転出したし、リューデリッツ伯の手元には色々と対処しなければならない案件が山積するはずだ。それらをこなしながら、まずは後方支援と物の流れの基礎を押さえる。士官学校を卒業して任官する先としては願ったりだろう。あのシュタイエルマルク伯ですら、統帥本部に任官された1年間は雑用に追われたそうだしな。サイズは比べるまでもないが、気概はイゼルローン要塞に関わる気持ちで取り組もうではないか」
「それに、防衛衛星を活用する案は、アイデアは叔父上、企画案はシェーンコップ先輩が作成したものだ。手抜かりでもあれば後が怖いからな」
場を明るくするようにディートハルトが話を変えた。シェーンコップ先輩は士官学校卒業後、1年目に行われる万歳昇進で中尉に昇進した後、数日で麻薬中毒者の焙り出しへの貢献が認められ大尉に昇進されている。先輩からは、艦隊司令を志望するような話は聞いたことが無いが、昇進の先にどんな有り様をお考えなのだろうか?リューデリッツ伯主催の会食で知己を得たオーベルシュタイン中佐は、それなりに昇進したら退役してRC社に活躍の場を求めたいとのことだったが......。
きり良く、皆のコーヒーカップが空になったところで、休憩スペースからそれぞれのデスクに戻る。皆の足取りが軽いのも、この任務の重要性と、ある程度裁量を任されたことから期待されていると実感できているからだろう。まずは自分を高めて、いずれはメルカッツ提督の司令部に所属する事が今の俺の目標だ。
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