65話:除霊と封印
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じている連中が滑稽で仕方がなかった。
自分たちは着れなくなった服をどうするか?よほど高価で思い出深い物ならまだしも、薄汚れてぼろぼろになった不要な服など、焼却炉行きだろう。せいぜい雑巾にでも再利用されれば御の字だろうに。
「総大主教猊下、もはやこれまで。ここにいたっては最後に異教徒どもを道連れに殉教するしかございますまい」
「うむ。ここに至ってはそれしかあるまいな......」
威勢の良いことを言っているが、本心ならなぜ手がブルブル震えているのか?散々後ろ暗い事をしてきたのだろう。帝国軍に捕まった後の事を考えればさぞかし不安で仕方がないに違いない。
だが、メインシステムをロックされた時点で、教団本部全体を吹き飛ばす自爆装置は起動できない。この謁見の間を吹き飛ばすのがやっとの量の爆薬が運び込まれ、ガン首をそろえて殉教するつもりらしい。最後まで狂信者としての生き様を貫いてほしいものだ。
「それにしてもワレンコフがこうもきれいに裏切るとは......。無念でございます。あの背教者め。いずれ報いを受ける事になりましょう」
大主教の一人が、濁りきった嫌な眼を血走らせながら恨み言を述べた。どうせ迫りくる恐怖に耐えきれずに麻薬でも打っているのだろう。地球教の教えに『恐怖に慄いた際は麻薬に頼れ』などと言うものは無かったはずだが......。まあ良い、死にたがりどもと未来を共にするつもりはない。さっさとお暇しよう。
「総大主教猊下、不肖このド・ヴィリエ、戦況の確認がてら猊下の門出の露払いをしてまいります。一足先に、あちらでお待ちしておりますれば、帝国軍への最後の一刺しを何卒よろしくお願いいたします」
そう言い添えると、私同様、身を立てる為に地球教に入信した数名と、自室へ急ぐ。ここで作業員の服装に着替えてから、取水の為の地下水脈へつながるメンテナンス通路を進み、教団本部が存在する山脈の麓へ続く地下水脈へと進む。出口の小さな洞穴まで1週間はかかるだろうが、逆に騒動がいったん落ち着く間を置くと思えば丁度良い期間だろう。せいぜい自爆でもして、私たちが逃げ延びる猶予を作ってもらいたいものだ......。
宇宙歴786年 帝国歴477年 5月下旬
太陽系第三惑星 衛星 月面
アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト
「それにしても我らが揃ってリューデリッツ伯の下へ配属になるとは、いささか驚いたな」
「まずは叔父上の下で、物の流れをしっかり学べという所だろう。新世代艦の艦隊運用ではそれを意識する事が必須だというし、叔父上はその分野では帝国屈指の実績をお持ちだ。任官したての少尉にある程度任せられる案件が丁度あったというのもあるのだろうが......」
「哨戒活動の原案も提案するのだ。決して気楽にできる任務ではないだ
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