65話:除霊と封印
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「それに関しては、遠隔ではございますが、教団施設のシステムにロックをかけました。システムを介した起爆はこれで防げると存じます。持ち運び可能な妨害電波発生装置もまもなく届きますので、有線でスイッチを押されない限りは、何とかできるのではと存じます」
「通信機器にしてはやけに大荷物だと思ったがそんな物まで持ち込んでいたのか。これもリューデリッツ伯の手配か?」
「はい。お酒の合間に積んでいけとのことでした。出番が無いに越したことは無いともおっしゃっておられましたが......」
リューデリッツ伯か......。軍部貴族の名門の生まれながら、兵卒にも配慮を欠かさぬ方だが、慰安用の酒だけでなく、自爆装置への対処もお考えとは......。さすがに帰還の折にはお礼に伺わねばなるまい。俺が入隊した当初は、戦勝の祝いの酒を指揮官たちが自腹で賄う事も多かったが、彼が旗振り役となって何かと差し入れをしてくれるようになった。指揮官としては、ただでさえ昇進させにくい装甲擲弾兵を指揮する以上、酒ぐらいは手配してやりたいと思う事は贅沢なことではないはずだ。それが当たり前にできる喜びを、地上部隊の指揮官たちは皆、感じているはずだ。
「俺からも帰還の折にはお礼に伺うつもりだが、卿からもオフレッサーが感謝していたと添えてもらえれば助かる」
「承知いたしました。では、システムのロックの監視もございますので、失礼します」
中佐はそう言い添えてから敬礼をして、俺が答礼すると、情報部が使用している一角へ戻っていった。彼もリューデリッツ伯の秘蔵っ子の一人だ。25歳で中佐となれば嫉妬をされる存在だろうがそういう声は聞こえてこない。機会には恵まれているだろうが、しっかり実績を上げているからこそだろう。リューデリッツ伯の格闘術の練達ぶりは装甲擲弾兵にも聞こえている。一度、稽古などつけてもらう事は出来るのであろうか......。
宇宙歴786年 帝国歴477年 4月下旬
地球教総本部 総大主教謁見の間
ド・ヴィリエ主教
「ドードーン、ズシン......」
帝国軍の攻勢が始まってすでに48時間、段々と爆発音が近づいている。サイオキシン麻薬漬けにした信者たちの自爆攻撃でなんとか対抗しているものの、大した訓練を受けたわけでもない。むしろ重火器も持たせずに装甲擲弾兵に立ち向かわせる事に違和感を感じないのが不思議な位だ。
まあ、狂信者のことなどまともな頭で考えても理解できる存在ではない。地球教の唱える絵空事を信じて、そのために殉教する事に喜びを感じるなら、そうさせてやるのがお互いの幸せだろう。そんなことより、今は自分の身の安全を計ることが何よりだ。地球生まれの私には、身を立てる場は地球教団しかなかった。だからこそ入信はしたが、教団の唱える絵空事を信
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